一級建築士とは?仕事内容や取得方法を解説

一級と二級の建築士資格は、数ある国家資格の中で、特に社会的に認知されている資格と言えます。しかし、名前は知っていても「一級と二級の違いは何か?」と聞かれ、応えられる人は少ないのではないでしょうか?

ここでは、建築業界を代表する資格である「建築士」の等級ごとの違いや、二級を取得したうえで取得する、一級建築士の上位資格についても紹介していきます。

一級建築士とは?できる仕事内容について

一級建築士の仕事は、大きく「設計業務」と「工事管理業務」の2つに分ける事ができます。

設計業務

設計業務は、さらに「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つに分ける事ができます。

・意匠設計

意匠設計は、多くの人が建築士と聞いてイメージする仕事に、一番近い内容と言えるかもしれません。

意匠設計では、建主の意向を聞き取り、使用用途、周辺環境、接道条件等を総合的に勘案し、建物の概略を計画する仕事です。デザイン性と実用性の両面から、建物を計画し、図面をもって建物を表現します。

・構造設計

構造設計は、意匠設計で計画された建物が、大規模な地震や台風といった自然災害で大きなダメージを受けた場合、少なくとも人命を守る事ができる建物となるよう、梁や柱の太さ、鉄筋の数などを、計算によって導き出す設計です。

・設備設計

設備設計は「電気」「給排水」「空調」「通信」といった、建物の中のインフラを計画する設計業務です。プラントなどの大規模な施設では、特殊な知識を必要とする場合もある、専門性の高い分野と言えます。

工事管理業務

工事監理は「施工管理」と混同される事がありますが、別の業務です。建築士は、設計業務を終えた後、自分の設計が図面や仕様書の通りに施工されるかを監理する必要があります。これが工事監理の仕事です。

なお、建築基準法の中で「工事監理」は建築士の独占業務とされています。

一級建築士と二級建築士の違い

一級建築士と二級建築士の主な違いは、設計や監理する事ができる建物の規模の違いです。

二級建築士の資格では、木造の建物で、高さ13m、軒高9mを超える建物は設計できないとされています。概ね3階建て以下の住宅を設計することができる資格と言って良いでしょう。

一級建築士は、それを超える規模の、大規模な建物の設計をする為の資格です。近年は耐震性能や、幅広い設備の知識などが住宅設計にも求められる為、住宅を設計する設計士であっても、一級建築士を狙う人が増えているようです。

一級建築士になる方法とは

次に一級建築士になるための方法を3つ紹介します。

高卒者のケース

高校を卒業した人が一級建築士を目指すには、まず二級建築士を取得する必要があります。普通科の高校を卒業した人が、二級建築士を取得する為には7年の実務経験が必要です。

二級建築士を取得し、更に4年の実務経験を積んだ後に、一級建築士を受験することが可能です。つまり、一級の取得までは、通算で11年が必要となります。

一級建築士、二級建築士ともに、実技試験は手書きによる製図なので、工業高校の建築科などで、手書き図面に慣れている人は、有利な面もあると言えるでしょう。

大卒者のケース

四年制大学の建築科を卒業した人(建築士法で定められている指定科目を修めて卒業する必要がある)の場合、2年以上の実務経験があれば、一級建築士の資格を取得する事ができます。

また、四年制の大学を卒業した後に、長期的な企業へのインターンにより、2年の実務経験を1年に短縮する事も可能です。

四年制大学を卒業し、一級建築士を狙う道が最短ルートなので、目標が明確な人の場合、大学の建築科を卒業する道を選択するのが良さそうです。

短期大学の建築科を卒業した場合は、3年〜4年の実務経験の後に一級建築士を受験する事が可能です。高等専門学校の建築科を卒業した場合は、4年の実務経験の後に受験する事ができます。

なお、建築士の資格を受験する場合、卒業した学校に関わらず、独学で勉強する人はあまりいないようで、資格学校を利用して取得するのが一般的です。

一級建築士より更に専門性の高い資格

2008年より一級建築士を持っている人が受験する上位資格が新設されました。それが「構造設計一級建築士」と「設備設計一級建築士」です。

国家資格の中では、比較的新しい部類に入るので、一般的な知名度はあまり高くない資格であると言えるでしょう。

一級建築士資格が創設されてから長い間、一級さえ取得してしまえば、日本国内のいかなる建物でも、意匠から構造まで全てを設計する事ができました。

しかし、今では一級建築士の資格だけでは、限られた規模の建物しか設計する事ができません。

受験する為には、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士ともに、5年以上の実務経験が必要です。

近年の構造設計一級建築士の合格率は、構造設計一級建築士が3割弱、設備設計一級建築士が6割前後となっています。

最終合格率が1割程度の難関試験である一級建築士を取得した人たちが受験していることを考えると、構造設計一級建築士、設備設計一級建築士ともに、さすがは建築系最高峰の難関資格試験だと言えるでしょう。

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