気になる建築設計の仕事を詳しく解説

建築設計と聞いて多くの人がイメージするのは、建築物の配置や間取りを計画し、施主の要求を図面で表現する、いわゆる意匠設計のようです。しかし、建物の規模が大きくなるにつれ、建築設計の内容も細分化していきます。今回は建築設計の仕事の内容を詳しく紹介していきます。

建築設計の仕事内容

建築設計の仕事内容は大きく3つに分けられ、専門ごとに建築士の資格も異なります。

意匠設計

意匠設計は、建築設計の中で最も基本となる建物の配置や内部空間をデザインするのが仕事内容です。直接施主の要求を聞き取り、予算の範囲内で最大限に要求を満たす計画をすることを目標とします。

大規模な建物は一級建築士、住宅などの比較的小規模な建物は二級建築士の資格者が設計おこないます。

構造設計

建築物の規模が一定以上になると、建築基準法で定められた方法で構造計算をすることが義務付けられています。

意匠設計で計画されたデザインを実現し、地震や台風に対抗できる強度を確保するためには、どのような構造躯体にしたら良いか、計算によって理論付けるのが構造設計の仕事内容です。

平成18年12月の改正建築基準法により、構造設計一級建築士という構造設計を専門とする資格が新たに創設されました。

設備設計

設備設計の仕事内容は「電気」「上下水道」「空調」といった建物の中のインフラ設備を計画することです。

構造設計一級建築士と同じく、建築基準法の改正で、新たに設備設計一級建築士が創設されました。

一定の規模以上の建築物になると、設備設計一級建築士が自ら設計を行うか、建築基準法の設備関係規定に適合しているか、確認することが義務づけられています。

建築設計の仕事の流れ

施主と打ち合わせ

建築設計の実際の業務は、施主から直接話しを聞くことから始まります。建物を計画する為、「用途」「利用者」「予算」などを明らかにします。

敷地調査

建物を計画する敷地において以下のような調査を行います。

・周辺の環境調査:敷地の接道条件、日照条件、近隣の建物

・法律や法令についての調査:役所で敷地測量図を取り寄せ、敷地にかかる法律や法令についての調査

・測量調査:敷地に高低差がある場合や、地籍測量図と実際の敷地に差異がある場合は、必要に応じて測量調査を実施

基本計画

基本計画では、建物の配置や平面図立面図、必要に応じてパースや内部の展開図などを作成し、予算の中で施主が納得する計画になるようにセッションを重ねます。

実施設計

実施設計では、まず建物が基準法に適合する材料を使用し、建物のボリュームが法で定める範囲に収まるように計画します。

その後、採光条件、通風、耐震性、耐火性などが、法で定める最低の基準をクリアし、安全に利用できる建築物になるよう設計します。

実施設計で完成した図面は、役所の建築指導課や、指定確認検査機関などでの確認検査を受けることになります。

施工業者の選定

住宅などの比較的小規模建築物の場合は、設計と施工を同じ会社が請負うケースが多いです。建物の規模が大きくなると、設計事務所が施工業者を選定することになります。

コスト面はもちろんですが、施工業者の技術力、実績、信用などを総合的に勘案して施工業者を選定しなければなりません。

設計管理

設計監理は、現場を取り仕切る建築施工管理技士と協議し、設計図面の内容を説明したうえで、計画した建物が設計図通りに現場で施工されるよう、施工業者に指示をあたえ、管理する業務です。

施工業者が実際に工事をするうえで、施工上の不具合が発生した場合は、設計の変更を求められる場合もあります。

施工管理

施工管理は基本的に設計者の業務ではありませんが、住宅など比較的小規模の建物では、建築施工管理技師の資格も持つ設計者が、設計と共に施工管理も行うケースもあります。

建築設計の仕事をするために求められる能力とは?

建築設計の業務では、依頼者の希望や考えを正確に汲み取り、それを設計図に反映する必要があります。

そのため、具体的には以下の能力が求められるでしょう。

コミュニケーション能力

建築物を完成させる為には、施工業者との円滑なコミュニケーションも必要不可欠です。

自分が設計した建物の設計意図を、正確に施主や関係者に伝える能力も必要になってきます。建築設計は高いコミュニケーションスキルが求められる仕事であると言えるでしょう。

想像力や心配り

利用者が実際に使うところをイメージし、設計する想像力や、細かい所への心配りも求められます。

タフな精神力

図面を作成する業務や、細かい数字が羅列された構造計算書を解読するために、根気強さも必要と言えます。

建築設計の仕事は社会的に大きな役割を担っている仕事です。その分、やりがいのある仕事ではありますが、要求に答える為には、常日頃から建築技術に興味を持ち、新しい知識にアップデートしておく必要もあるでしょう。

これから建築設計の世界に転職を考えている方は、仕事の年収や待遇も気になるとは思いますが、それ以上に高い志が求められるジャンルである点も知っておく必要がありそうです。

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