AutoCADのブロック定義の方法や活用術をご紹介
2019.11.06
- CADソフト解説
記事ライター:キャドテク編集部
AutoCADの便利な機能として「ブロック化」があります。ここでは、ブロックの基本から、AutoCAD2020で、新しく追加された、ブロックを効率的に挿入するための新機能まで、詳しく紹介していきます。
目次
AutoCADのブロックとは
複数のオブジェクトをまとめてひとつにした図形のことを、AutoCADでは、「ブロック」と呼びます。
ブロック化することで、容量が軽くなるうえ、扱いやすいデータとなります。そのため、構成するオブジェクトの数が多く、複雑な図形ほど、ブロック化して使用することが推奨されています。
AutoCADのブロックの種類は以下の3種類です。
・ブロック
ブロックとは、複数のオブジェクトをひとつにまとめたものを、ブロックと呼びます。
・ダイナミックブロック
ダイナミックブロックも、ブロックと同じように、複数のオブジェクトを、ひとつにまとめたものです。しかし、ダイナミックブロックの場合は、図面上に配置したあとに、分解することなく、外観と動作をコントロールすることができます。
・属性付与されたブロック
属性は、部品リストや図面枠を作る際に使用します。ブロックに文字情報を付加することができるため、その情報を表作成や、集計などに利用します。
AutoCADのブロックの特徴
AutoCAD ブロックの特徴
・同じ図形を何度も使用する場合、ブロック登録して作業効率をアップが図れる
・一度登録しておけば、別の図面を作成する際にも呼び出して利用できる
・一度ブロック化してから配置することで、データ容量の軽減が可能・「ブロック定義の編集」ダイアログボックスで、ブロックを編集すると、一括で図面に配置したブロックに編集内容を反映させることができる
・ブロックを図面に配置する際、反転または、ミラー反転して配置可能
AutoCAD ダイナミックブロックの特徴
・壁などのオブジェクトにブロックを自動的に位置合わせが可能
・ブロックの上に、追加の移動グリップを作ることができる
・ブロックに複数の挿入点をあたえ、ブロックを配置する際に「Ctrl」キーで基点を変更しながら配置することができる
・ブロックのサイズを、自由にストレッチして変更できたり、リスト選択などで決まったサイズに変更できる
AutoCAD 属性付与されたブロックの特徴
・ブロックに文字情報を付加することができるため、あとから属性情報を抜き出して、部品表の作成などが簡単におこなえる
AutoCADでブロックを活用するメリット
ブロックを使用するメリットには、以下のようなものがあげられます。
・データを軽くできる
ブロックを定義することで、データ容量をおさえることができます。
・一括変更ができる
ブロック定義の編集で、ブロックの再定義をおこなうと、図面上に配置されたブロックに一括で変更した内容が反映されます。
・作業効率のアップ
図面上では、何度も同じ図形を使うことが多いと思います。ブロックとして定義すれば、何度も同じ図形を作成する必要がないため、ミスを防ぐことはもちろん、最小限の修正作業の発生におさえられます。
AutoCAD ブロックを定義する方法
AutoCAD ブロックの定義
具体的なブロック定義の方法について詳しく紹介していきます。
ブロックの定義は、ブロック定義のダイアログボックスでおこないます。
1.ダイアログボックスを開くと、左上に名前を入力するエリアがあります。ここに、製品の品番など、あとからブロックを探しやすい名前をつけましょう。ブロックの名前は、255文字以内で(文字、数字、スペース、特殊文字が使用可能)つけられます。
2.基点を指定するエリアで、挿入基点を決めます。XYZの座標点を入力することもできますが、画面上で指定にチェックし、マウスクリックで指定するのがおすすめです。
3.オブジェクトエリアで、ブロックを定義したあとに、元になった図形をどうするか選択します。下記を参考に、作図の状況にあったものを選択しましょう。
・「保持」を選択……ブロックを登録し、元の図形をそのまま残す
・「ブロックに変換」を選択……ブロックを登録し、元の図形もブロック化する
・「削除」を選択……ブロックを登録し、元の図形は削除される
4.動作エリアでは、異尺度対応や、分解許可などを設定できます。
設定エリアは、「メートル」「センチメートル」などの、ブロックの単位を選択し、ハイパーリンクを関連付けることが可能です。
5.最後に説明を付け加えることができるので、あとからブロックの内容が分かるように説明を書き込みましょう。
6.以上の内容を設定し終えたら、ダイアログボックスの右下にある「OK」ボタンをクリックします。すると、設定した内容でブロックが作成されます。
なお、作成したあとに、ブロックの内容を変更することもできます。
AutoCAD 定義したブロックを挿入する方法
AutoCADでブロックを挿入する方法は、AutoCAD2020から新しく改良が加えられました。従来のAutoCADでは、「INSERT」コマンドを実行すると、ブロック挿入のダイアログボックスが実行されていました。AutoCAD2020からは、新たに「ブロックパレット」が導入されたため、「INSERT」とコマンドを打ち込んで立ち上がるのは「ブロックパレット」に変更されています。
なお、従来の「ブロック挿入」ダイアログボックスを使用したい場合は、「CLASSICINSERT」のコマンドを実行すると、「ブロック挿入」コマンドを使用できます。
従来の方法でブロックを挿入するには、コマンドを打ち込むか、リボンのホームタブにある「挿入」をクリックして、実行します。
作成されたブロックが表示されるので、使用したいブロックを選択しましょう。「挿入位置指定」と表示されるので、マウスクリックで指定し、指定した位置にブロックが配置されます。
AutoCAD ダイナミックブロックの定義と作成方法
AutoCAD ダイナミックブロックとは
ダイナミックブロックは、ブロックに位置を指定するパラメータと、「伸縮する」「回転する」などの動きを定義するアクションを設定したブロックのことです。
AutoCAD ダイナミックブロックの作成方法
ダイナミックブロックの作成は、ブロックエディタを使い、下記の手順でおこないます。
1.ホームリボンタブに配置されている「ブロックエディタコマンド」を実行します。
2.ブロック定義を編集するダイアログが表示されるので、ブロックの名前を入力して、「OK」ボタンをクリックしましょう。
3.作図ウィンドウが、ブロック専用の画面に切り替わるので、ウィンドウの中心にブロック定義する図形を作成します。
4.ブロックエディタにブロックオーサリングパレットが表示されます。パレットの中のパラメータタブから適切なパラメータを指定し、アクションタブから「回転」「ストレッチ」など、実際におこなう動作を図形に割り当てます。
5.ブロックの設定ができたら、「ブロックをテスト」コマンドを実行し、動きを確認しましょう。
6.問題がなければ、「ブロックを保存」を実行し、ブロックエディタを閉じて、ダイナミックブロックの登録は完了です。
AutoCAD 属性付与されたブロックの定義の方法と挿入方法
AutoCAD 属性ブロックの定義
通常のブロックを作成した際、ブロックに「部品番号」「価格」「注釈」「所有者」などの属性が含まれているブロックのことを、属性定義(された)ブロックと呼びます。
AutoCAD 属性定義ブロックの挿入方法
属性定義ブロックの挿入方法は、通常のブロックの挿入方法と同様の手順でおこなえますが、属性をもつブロックを配置した場合は、属性の値を入力する工程が追加されます。属性をもつブロックを配置すると、配置直後に「属性編集」のダイアログボックスが表示されますので、属性、文字オプションなどから、必要な情報を入力、選択しましょう。
AutoCADですでに定義されているブロックを書き出す方法
ここでは、AutoCADにおいて、すでに定義されているブロックを書き出す方法を解説します。
1.コマンドプロンプトに「wblock」とコマンド入力します。
2.ブロック書き出しダイアログボックスのソースエリアで、「ブロック」を選択してください。
3.▼をクリックし、リストの中から、書き出すブロックの名前を選択しましょう。
4.「ファイル名」ボックスの保存エリアで、WBLOCKのファイル名を打ち込みます。
5.「場所」ボックスに、WBLOCKの保存場所を入力します。ダイアログの左下にある「OK」ボタンをクリックすると、図面が書き出されます。
AutoCAD ブロックパレットからの挿入方法
AutoCAD ブロックパレットとは
2019年3月にリリースされたAutoCAD2020で、新しい機能として追加されたのが「ブロックパレット」です。
ブロックパレットは、従来よりも効率的にブロックを配置できるツールで、「現在の図面」「最近使用」「他の図面」の3つのタブで構成されています。表示されるブロックのサムネイル画像から、ブロックを選択し、図面に挿入することができます。
フィルターを使うと、従来よりも効率的に、必要なブロックを探すことができるほか、繰り返しオプションを使うと、同じ図形を繰り返し配置する場合でも、従来よりも素早く作図をおこなえます。
AutoCAD ブロックパレットの挿入方法
ブロックパレットを挿入する場合は、下記の手順でおこないます。
1.挿入タブにある、挿入の下に表示される「▼」をクリックします。
2.ギャラリーの下部に表示される、「最近使用したブロック」もしくは、「他の図面のブロック」をクリックすると、ブロックパレットが立ち上がります。
3.表示されたサムネイルの中から、挿入したいブロックを選択すると、ブロックパレットからブロックを配置することができます。
なお、ブロックパレットに表示される3つのタブには、以下のブロックが表示されます。
・現在のタブ……現在の図面で使用可能なブロックリスト
・最近使用タブ……さまざまな図面から最近使用したブロックが表示される
・他の図面タブ……指定した図面からブロックのリストが表示
AutoCAD ブロックのまとめ
AutoCADにおいて、ブロック化して作図するかどうかを決めるポイントは、以下の3つです。
・複雑な図形の場合
複雑な図形をコピーすると、オブジェクトの選択し忘れなどが起こりやすいです。そのため、あらかじめブロック化しておくことで、ミスを防ぐことができるでしょう。
・図形の利用回数が多い場合
配置する基点や方向が異なることもありますが、簡単に修正変更できるので、利用回数が多い図形は、ブロック化しておくことがおすすめです。
・データ容量軽減のため
図面上に重いデータが増えると、パソコンの操作速度が遅くなったり、エラーの原因になったりします。重いデータが多くなるようであれば、ブロック化したほうが良いでしょう。
以上のことを勘案して、ブロック化を決めてみてください。
今回は、AutoCADのブロックについて紹介しました。
ブロックを使って、より効率的に、作業スピードのアップを図ってみてはいかがでしょうか。