知っておきたい!AutoCADを無料で使う方法とは
2019.10.30
- CADソフト解説
記事ライター:キャドテク編集部
AutoCADは、建設や機械製造など各業界で最も多いシェアを獲得し、CADソフトの代表格といえるソフトです。そんなAutoCADは、一定期間無料で使える期間を設けていたり、学生や教育関係者の方向けの無料ライセンスをリリースしていたりすることをご存じでしょうか。
ここでは、AutoCADの無料期間や、無料で使うための条件などについて、詳しく紹介していきます。
目次
AutoCADは無料で使える?
AutoCADには、2Dと3Dの両方の機能が使える「AutoCAD」と、2DCADとしての機能だけが使える「AutoCAD LT」がラインナップされています。
AutoCADは、汎用CADソフトとして、多くの業界でナンバーワンのシェアを獲得、高機能で世界的に有名なCADソフトですが、その値段は1年あたり209,000円(税込)と高価なものになっています。
※2019年10月30日時点の情報です。価格変更などがあるため、最新の価格は公式サイトにてご確認ください。
容易に手を出しづらいこともあってか、AutoCADを提供するAutodesk社からは、AutoCADの利用期間を限定した体験版や、学生や教育関係者用の無償アカウントもリリースされています。
AutoCADを無料で使える条件とは
ユーザー条件
まずは、「学生版」と「体験版」における、ユーザーの利用条件を詳しく確認していきましょう。
・学生版(教育機関・学生向け)
学生と教育機関関係者の方に向けたライセンスです。認定教育機関をはじめ、認定教育機関に所属する13歳以上の個人で、学生期間中の最大3年間無償利用ライセンスが付与されます。
なお、学生版のライセンスでは、技術サポートがついていないほか、実務で使われる図面の作成はできないとされています。
・体験版
ユーザー条件は特になく、インストール後30日間は、無料で利用することが可能です。
使用するパソコンに対する条件
つぎにお使いのパソコンのスペックでAutoCADを動かすことができるかを、確認していきましょう。
・Windowsの場合
パソコンを起動し、デスクトップ画面で右クリックします。メニューを表示させ、「ディスプレイ設定」をクリックしましょう。
つぎに、設定ウィンドウが表示されるので、「バージョン情報」をクリックします。すると、プロセッサやRAMやOSといった必要な情報が表示されます。
・Macの場合
Macを起動させ、最初の画面で左上に表示されているリンゴのマークをクリックします。プルダウンしてきたメニューの中にある「このMacについて」の項目をクリックしましょう。
すると、お使いのコンピュータのOSやプロセッサなどの情報が表示されます。
・AutoCADを動かすために必要なスペック
OS:Windows10 64bit、Windows8.1 32bitおよび64bit、Windows7 SP1 32bitおよび64bit、
Apple Mac X v10.10以降 64bit
CPU:32bit版:1GHz以上の32bit(x86)プロセッサ
64bit版:1GHz以上の64bit(x64)プロセッサ
メモリー:32bit版:2GB(4GB推奨) 64bit版:4GB(8GB推奨)
HDD:4GB、3Dを利用する際は6GB
条件に当てはまったら早速AutoCADを無料で使ってみよう
AutoCADを利用するためには、まずAutodeskのアカウントを取得する必要があります。アカウントを登録したうえで、ソフトをダウンロードし、インストールをおこないます。
学生版を例にとり、実際にAutoCADをインストールする方法を解説します。
※パソコンを起動しているかつ、インターネットに接続した状態からの解説です。
■AutoCADのダウンロードとインストール
①はじめにAutodeskのアカウントを取得するため、「Autodesk Education Community」にアクセスします。
②トップページ右上の「サインイン」をクリックし、プルダウンしてきたメニューの中にある「Autodeskアカウント」を選択しましょう。
③ユーザー情報を入力する画面が表示されたら、「名前」「Eメールアドレス」の入力、「パスワード」の設定をおこないます。使用条件に同意し、「アカウントを作成」のアイコンをクリックします。
④「アカウントが作成されました」と表示されるので、「完了」をクリックすると、アカウントの作成は完了です。
⑤つづけてEducation Communityへ登録します。再びAutodesk Education Communityにアクセスし、右上の「サインイン」をクリック、プルダウンしてきたメニューの中から、「Education Community」を選択します。
⑥「電子メールを確認」というウィンドウが表示されると、登録したEメールアドレスにメールが届きます。本文中にある「電子メールを確認」を選択しましょう。
⑦教育機関限定プロファイルの設定です。
「教育期間の国」「教育任務」「生年月日」などの項目をすべて記入し、「次へ」を選択してください。
⑧教育機関情報の入力、教育分野を選択し、「次へ」をクリックします。「当社のデータベースに記録が存在しません」と表示された場合、学校の詳細情報を入力して、「追加」をクリックすると、元の画面へ戻るので、「次へ」をクリックしましょう。
⑨アカウント設定のウィンドウが表示されたら、「続行」をクリックします。
⑩「サービス利用規約」の画面が表示されるので、同意するにチェックを入れて「続行」を選択してください。
⑪ここからは、ソフトのダウンロードです。
Autodesk Education Communityにアクセスし、「入手ソフトウェア」を選択します。
⑫アカウントの有無を聞かれますので、アカウントをお持ちの方の下にある「サインイン」を選択します。
⑬AutoCADの種類を選択する画面になるので、バージョンや使用言語などを選択すると、「シリアル番号」「プロダクトキー」が発行されます。この情報は、後で使用することになるので必ずメモしておきましょう。「今すぐダウンロード」をクリックすると、ダウンロードが開始されます。
⑭ダウンロードが完了したら、アプリケーションを起動し、インストールを開始します。
⑮コンポーネントが画面上に表示されますので、右下の「インストール」を選択してください。
⑯「使用承諾およびサービス契約」の画面が表示されたら、右下の「同意する」にチェックし、「次へ」を選択します。
⑰登録画面が表示されます。ライセンスの種類を選ぶ項目では「スタンドアロン」を選択しましょう。
⑱先ほどメモを取っておいた「シリアル番号」「プロダクトキー」を入力します。すべて入力した後、「次へ」を選択し、次の画面で「インストール」を選択すると、インストールがはじまります。
⑲インストールが完了すると、「正常にインストールされました」というウィンドウが表示されます。ウィンドウの右下にある「完了」をクリックし、パソコンを再起動すれば、インストール作業の完了です。
無料でダウンロードしたAutoCADの基本操作を覚えよう
無料提供されているAutoCADの学生版や体験版は、有償版AutoCADとの操作方法に違いはありません。
しかしながら、これからAutoCADの学生版や体験版を導入しようと考えている場合、AutoCADの操作は初めてであることが多いでしょう。
ここでは、AutoCADにおけるマウスやキーボードの基本的な操作と、画面構成について、詳しく解説していきます。
■マウス操作
・左クリック:メニューの選択、コマンドの選択や確定、オブジェクトの選択
・右クリック:メニューの表示
・スクロール:画面の拡大縮小
・スクロールボタンのダブルクリック:作図画面の全画面表示
・スクロールボタンのドラッグ:表示画面の移動
■キーボード操作
・ESC(エスケープキー):選択したオブジェクトやコマンドのキャンセル、終了
・Enter(エンターキー):コマンドの確定、入力した数値や文字の確定
・Space(スペースキー):コマンドの確定
・ファンクションキー:作図補助機能のON/OFF、表示/非表示
■画面構成
・作図領域:
画面の大部分を占める中心部が、オブジェクトを配置し、作図するエリアです。
・タイトルバー:
画面最上部に、現在使っているファイルの名前が表示されます。学生版の場合、ここに「学生版」と表示されます。
・アプリケーションメニュー:
画面左上にある「A」のマークを押すと、「新規作成」「開く」「保存」「閉じる」などの主要なファイル操作コマンドを表示することができます
・クイックアクセスツールバー:
画面左上「A」の右横にアイコンが並んでいる箇所がクイックアクセスツールバーになります。ここには、使用頻度の高いツールが表示され、アイコ
ンの順序を変更することも可能です。
・リボン:
作図領域の上部にある、「ホーム」「表示」「注釈」などのタブが並んでいるところをリボンと呼びます。各カテゴリのコマンド表示、タブによって切り替えができます。
・ファイルタブ:
作図領域のすぐ上にあり、アプリケーションで開いた、ファイル名が記載されているタブです。アクティブタブを切り替える際に使用します
・オブジェクトプロパティ管理:
オブジェクトをアクティブにし、右クリックすると、オブジェクトプロパティ管理を開くことができます。ここでは、アクティブにしているオブジェクトのプロパティ情報を表示させ、数値を変更するとオブジェクトに反映することができます。
・モデルタブ/レイアウトタブ:
作図領域の左下に表示される「モデル」タブと「レイアウト」タブは、モデル空間とレイアウト空間の表示を切り替えます。
・コマンドウィンドウ/コマンドライン:
作図領域の下側に表示される、グレー部分がコマンドウィンドウです。コマンドシステムやシステム変数の起動、検索できたり、実行中のコマンドのプロントを確認したりできます。
無料でダウンロードしたAutoCADを有償版へ変更する方法
無償版でインストールしたAutoCADは、アンインストールしたり、有償版を新たにインストールしたりすることなく、有償版へ移行することが可能です。
下記では、シングルユーザーライセンスの場合を例にとり、有償版への移行方法を解説していきます。
①30日無償体験版を起動すると、右上に時計の絵と、30と書かれた青いアイコンがあります。このボタンをクリックすると、試用期間が終了している場合、「無料体験版の利用期間は終了しました」というウィンドウが表示されます。「ご購入はこちら」というボタンがあるので、クリックしましょう。
②アクティベーションの画面に移ったら、青い「アクティベーション」のボタンをクリックします。
③画面を保存して終了させる画面になるので、一度AutoCADを終了させ、再起動させます。
④Autodesk Accountにアクセスし、ライセンスの種類から「シングルユーザ」を選択します。アクティベーションの処理が完了すると、ライセンス認証の画面が表示されたのち、製品が起動すればライセンス認証は完了です。
AutoCAD起動時に無料版利用についてのアラートが表示された場合の対処法
AutoCADを起動すると、「無料体験版の利用期間は終了しました」というメッセージが表示され、ライセンが認証されなくなることあります。
このアラートが表示された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
<利用している製品のアクセス権の設定を確認する>
シングルユーザーライセンスを利用してAutoCADを利用している場合、Autodesk社によるAutoCADへのアクセス権の付与が必要になります。
指名ユーザーのAutodesk IDに、使用している製品のアクセス権限が割り当てられているかを確認し、契約しているアカウントで、Autodesk Accountへサインインしたのち、左側の「ユーザー管理」をクリックします。
アクセス権が付与されていない場合は、AutoCADを利用するユーザーの名前と、メールアドレスを追加し、「保存して接続」を選択するとアクセス権を付与することができます。
または、ユーザー管理の「ユーザー別」から「ユーザーを追加」をクリックし、アクセス権を付与することも可能です。
<デスクトップ上でサインインし直す>
製品を起動し、一度アカウントからサインアウトしたうえで、再びサインインします。その後、製品を起動します。
<ライセンス関連の情報を削除する>
下記のファイルを削除することで、認証されることがあるようです。
・Windowsで削除する場合
C:Users<ログインユーザー名>AppDataLocalAutodeskWeb ServicesLoginState.xml
C:Users<ログインユーザー名>AppDataRoamingAutodeskADUT
C:ProgramDataAutodeskCLMLGS
C:ProgramDataFLEXnet
C:ProgramDataAutodeskADUT
・Mac OSで削除する場合
/User/$USER/Library/Application Support/Autodesk/ADUT.
/User/$USER/Library/Application Support/Autodesk/Web Services/LoginState.xml.
/Library/Application Support/Autodesk/CLM/LGS.
/Library/Preferences/FLEXnet adskで始まるファイル
以上のことを試しても認証されない場合は、AutoCADの提供元であるAutodesk社に問い合わせてみましょう。
無料でダウンロードしたAutoCADをキャンセルする方法
30日無償体験版ダウンロード時に、支払い情報を入力しなかった場合は、30日を経過すると、自動的にAutoCADのフル機能が使えなくなります。この場合、特に製品版購入をキャンセルするための手続きは必要ありません。
一方、無償体験版ダウンロード時に、支払い情報を入力した場合は、体験版が終了する前に、自動更新をOFFに切り替えなければなりません。
自動更新をOFFに切り替える方法は、下記の手順でおこないます。
①Autodesk Accountにサインインし、「請求と注文」を選択します。
②キャンセルする製品を選択し、サブスクリプションの詳細を表示させます。「自動更新」ボタンをクリックし、「オフ」に設定しましょう。
③確認画面で「オフにする」を選択すれば完了です。
AutoCADを使うなら知っておきたいデータ変換方法
ここでは、AutoCADのデータ変換の方法を詳しく解説していきます。
AutoCADでは、Jw_cadやVector worksといった他のCADソフトでも読み込んだり、編集したりできる「DXF」データ形式と、CADソフトを持っていなくてもCAD図面を確認することができる「PDF」データの形式に対応しています。
DXFは、他のCADソフトであっても図形や文字の編集することができますが、PDFは電子化された文章データのため、図面の閲覧のみで、図形の編集や修正はできません。
DXFデータへ変換する方法
①DWGのデータをDXFデータに変換するには、まずAutoCADで、図面を開きます。
②アプリケーションメニューの中にある、「名前を付けて保存」場所までマウスポインタを移動させ、右側に表示される「その他の形式」を選択し、保存できるデータ形式の中から「DXF」を選択します。
③「名前を付けて保存」するためのウィンドウが表示されるので、「保存先」「ファイル名」を入力し、ファイルの種類で「DXF」を指定します。
④ファイルを指定した後、「保存」ボタンを選択します。先ほど指定した保存先に、新しくDXF形式のファイルが作成されます。
PDFデータへ変換する方法
PDF形式への変換方法は、作成した図面を印刷する場合の工程と似ています。
①PDF形式に変換したいファイルをAutoCADで開きます。
②クイックアクセスツールバーなどから、「印刷」コマンドを実行します。
③プリンタ/プロッタの「名前」の横の矢印をクリックし、プルダウンしてきたメニューの中から、「Microsoft PDF」の項目をクリックしましょう。
④他の印刷設定で、「用紙サイズ」「印刷範囲の設定」「印刷尺度の設定」「印刷スタイルの設定」を設定し、最後に右下にある「OK」をクリックします。
⑤指定した保存先にPDFファイルが作成されます。
※PDFファイルを開く場合は、Adobeが提供するAcrobatなどのソフトが必要です。
AutoCADの無料版についてのまとめ
ここまで紹介したように、AutoCADは高価なCADソフトではありますが、無料でできる期間があるので、この期間を効果的に利用したいものです。
AutoCADは世界的にも高いシェア率を誇り、各業界で、CADといえば、最初に名前があげられると言っていいほど、メジャーなCADソフトです。
どのCADソフトを導入しようか迷っている、フリーのCADソフトから有償のCADソフトへ移行しようと検討している方は、まず一番需要のあるAutoCADに触れてみるというのは、効果的な方法だと言えるでしょう。
今回の記事を参考に、無料期間を賢く使い、AutoCADに触れてみたうえで、導入するかを決めてみてはいかがでしょうか。