BIMオペレーターの仕事内容と将来性
2020.07.15
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
昨今、建築業界でBIMの導入が盛んになってきています。そんなBIMソフトを扱う仕事のひとつがBIMオペレーターです。この記事では、仕事内容や将来性などについて詳しく解説しています。
目次
BIMとBIMオペレーターの具体的な仕事内容
まず、BIMソフトの基本やBIMオペレーターの仕事内容について解説していきます。
概要
BIMというのは、英語の「Building Information Modeling」の頭文字を取ったもので、「ビム」と読みます。CADソフトとよく似たソフトですが、単にモデリングを行えるだけでなく、建築専用のさまざまな機能が追加されています。
まず、BIMを使って製図をする場合、1つの建築モデルから「ビュー」を組み上げることで各種の図面を作成していくことができます。PCの画面上で、その「ビュー」を編集すると、平面図や立面図、断面図などがリアルタイムで更新されていきます。
また、単に3Dの「ビュー」が見えるだけでなく、建築時に使用する部材の色味や強度、コスト、メーカーといった情報などもモデルの中に組み込むことも可能です。そのため、CADソフトを使って作図するよりもリアルな図面を作成できます。
さらに、これまでは平面図や立面図などいくつもの図面を作成する必要がありましたが、BIMを使用すれば一つの3Dモデルを作成するだけで済むようになっています。そのため、図面を修正する場合にも、「ビュー」の一部のみを修正すれば、その修正内容がリアルタイムでその他の図面にも反映されます。
仕事内容
仕事内容は、設計士が設計した図面を元にBIMを使って製図を行ったり、設計士から指示されたとおりに図面を修正するなどの仕事がメインとなります。
なお、CADソフトにはない多くの機能が備わっているため、BIMオペレーターとして仕事をしていく上では、こうした機能を覚えておくことが欠かせません。
仕事内容から見えるBIMオペレーターに求められること
では、BIMオペレーターとして仕事をしていくためには、どのようなことが求められるのでしょうか。
CADオペレーターに比べてより建築に関する知識が必要
仕事内容も、CADオペレーターの仕事内容においても、設計士が施主の要望にそって建物を計画し、その過程で実際に図面を作図していくという点では同じです。しかし、CADオペレーターの仕事内容と違い、直接3次元で建物のモデリングを行っていくことになるため、さらに詳しい建築の知識が必要となってきます。
繊細さ、集中力
BIMを使用した場合、建築に使用する部材には強度やコストなどの「情報」を登録することが出来ます。こうした「情報」は、ソフトの側で一元的に管理され、一つのデータを修正すれば、それに伴って全体のデータも修正されることになります。また、建物のモデルを3次元で作っていくため、細部まで繊細に作図をする必要があります。
こうした点から、建物の全体像や完成形がイメージできていることなど、CADオペレーター以上に集中力が必要とされます。
BIMオペレーターは建設業界で注目されている職業
現在、建築業界ではBIMを導入する企業も増えつつあります。
その理由として、2015年に国土交通省によって「BIMガイドライン」が制定され、政府主導で公共事業などのBIM化を目指すという動きがあるためです。これに加えて、2018年には1件のRC造戸建住宅が、BIMデータを利用して確認済証の交付を受けることが出来ました。
このようなことから、建築業界ではゼネコンを始めとして、中小ゼネコンから中小規模の建築会社まで、導入する動きが進んでいます。それに伴い、求人も増加傾向にあります。
BIMオペレーターは今後需要が大きくなる仕事
すでに海外では、建築プロジェクトにおいてBIMの導入を義務付ける国が増えてきています。また前述のとおり、日本国内でもBIMを活用した建築生産を、大手だけでなく中小の事業所までもが円滑に導入できるように、国が人材育成を進めています。
そのため、日本国内でのBIMを使った建築は今後さらに増えていくことが予想されています。2次元CADが10年ほどの間に大手企業から中小企業にまで定着してきたように、ソフトの使用も今後徐々に広く浸透していくことが考えられます。
同時に、建設会社での育成や、派遣会社においても研修を行っているなどの育成も進んでいます。
企業内の研修は働いていなければ受けることはできませんが、現在、派遣会社に登録しているCADオペレーターの方は、そういった研修制度などを上手に活用しつつ、BIMの技術を身につけておくと良いかもしれません。
このように、BIM導入は加速していますので、今この機会にBIMオペレーターとしての技術を身に付けておくことには、大きなメリットがあると言えます。
この機会にCADオペレーターからBIMオペレーターへのキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。