CADオペレーターは何歳まで働ける?今後の見通しと併せて解説
2019.12.27
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
どんな職業においても、何歳まで働ける職業であるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
それは、CADオペレーターにも言えることです。今回は、何歳まで働ける職業であるのかをはじめ、仕事を続けるために必要なことなどについて解説します。
長く活躍したいと考えている方は、ぜひご参考ください。
目次
“何歳まで働ける”かは大きな課題
人生100年時代と言われる現在において、老後のためにお金を稼ぎたい、もっと社会とつながっていたいなど様々な理由から、仕事を長く続けたいと考える人も多いようです。
男性は一度職に就くと定年まで勤めるという方も多くいますが、結婚、出産、介護などライフステージが変化しやすい女性にとっては、長く続けることが簡単ではない場合もあります。
一度休職してしまえば、ブランクや復職時の年齢から職に就くことが難しい場合もあるでしょう。
何かしらの資格を取得していれば、比較的スムーズに復職できることもあるため、若いうちに取得しておこう、技術を身につけておこうという女性も増えているようです。
やはり気になるところは「何歳まで働けるのか」という問題に直面している方も少なくないでしょう。
このように、何歳まで働けるかという問題は、仕事をしていく上で大きな課題と言えます。
何歳まで働けるのか
職業において、就職転職するのにベストな年齢やタイミングがあるものですが、CADオペレーターの場合のベストな年齢はあるのでしょうか?
やはり企業側としては、若い20代や30代の社員がほしいというのが本音でしょう。日々進化する新しい技術にも若い世代の方が、柔軟に対応できると採用側は考えますし、知識の習得も早いと考えます。
ただし、40代以降の方が、仕事を続けることや、転職ができないという話ではありません。専門技術を必要とする職業は、他の職業と比較すると、年齢はさほど関係ない職業と言えるでしょう。
採用側が気にするのは、企業で使うことになる分野の知識や経験です。正確な図面をかけることはもちろん、働く業界に関係する資格や経験を持っていれば、何歳までといった年齢に関係なく、長く業界で活躍することができるでしょう。
いくつになっても働きやすい!多様な雇用形態
正社員
正社員として雇用されるには、将来的には設計士やデザイナーなどを目指す志を持った方や、すでに卓越したCADの知識を有しており、即戦力として採用されるといったケースが多いようです。
未経験から正社員として雇用されるケースは、事務やコピー、スキャニングなどの雑務の仕事を兼任するというスタイルで採用されることもあります。
入社してから数年間の仕事内容は、業界の知識を1から学び、設計士やデザイナーのアシスタントとして補助業務をおこないます。
正社員として雇用された場合の平均年収は、430万円程度と言われています。建築土木業界、電気メーカー、アパレル業界、機械設計業界など、どの業界でも、実際のスキルと業界での経験が最も重視されることから、経験を積むほど年収がアップしていく傾向にあります。
そのため、大学の建築学部や建築の専門学校などで土台を築き上げておけば、就職活動の際にも役立ちます。
学生のうちにアルバイトとして設計事務所で経験を積む人も多く、また無給ですがオープンデスクといって、一定期間研修生として就業体験を行える制度もあります。
特に経験重視とされる設計業界においては、設計事務所や大手企業の設計部で経験を積んでおくと、面接などの際に大きなアピールポイントになるでしょう。
アルバイト・パート
アルバイトやパートとして働くメリットは、フルタイムや短い時間の勤務などを選ぶことができ、自分のライフスタイルに合わせて無理なく働ける点があげられます。
仕事の内容は、採用される業界や職場により様々で、基礎からしっかりとCAD操作を習得させてくれる企業もあれば、はじめは雑用ばかりでパソコンにも触れさせてもらえないところもあるようです。
アルバイトやパートとして出ている求人では、「実務未経験者歓迎」「未経験者OK」と募集がかけられていることも多く、努力次第では正社員としての雇用も望めるので、未経験者にとってはチャンスのある雇用形態であると言えそうです。
アルバイトやパートとして採用された場合の時給は、1,000円前後が平均時給となっています。
派遣社員
派遣社員として働く場合、まず派遣会社に登録した後、スキルにマッチした建築業界、土木業界、機械メーカー、電機メーカー、機械設計業界などに派遣されることになります。
各業界により繁忙期の時期は違いますが、企業側は作図業務が集中する時期だけ増強し、人件費を削減する目的で派遣社員を期間限定で受け入れるという事情もあるようです。
派遣の仕事は、設計士やデザイナーの指示を正確に聞き取り、その情報を図面に表現することです。
現在は自分でCAD操作ができる設計士やデザイナーが多くなってきているため、ゼロから図面を作成するより、修正作業の方がメインになっている職場もあるようです。
派遣の時給は、東京では1500円程度からが相場となっており都心部のほうが、時給が高い傾向にあります。
中には、スキルはもちろん、設計や機械の開発など各分野の専門的な知識や経験があれば、さらに高い時給で雇用されていることもあり、スキル次第では高収入を期待できるでしょう。
派遣社員として働くメリットは、様々な会社で、様々なソフトに触れることができ、スキルを幅広くアップさせることができることなどがあげられます。
このように、雇用形態は、正社員、派遣社員、アルバイト・パートと多様です。そのため、自分のライフスタイルに合わせつつ、何歳までも働き続けられる職種であると言えるでしょう。
そもそも将来性は見込める?
今後の見通し
何歳までも働きやすい環境にある職種であるとお伝えしましたが、近年はAIなども発達し、いずれは仕事もAIによっていらないものになるのでは?と心配をする人もいます。
しかし、そのような心配をする必要はありません。
昨今におけるCADの技術は、ものづくりの業界で無くてはならないものになっています。
近年、3DCADやBIMが導入されてきており、作図作業の工程も変わりつつありますが、やはり肝心なところは人の手による作業が必要です。
技術が進歩したり、作図業務が簡単になることはあっても、作図の業務すべてがなくなることはないでしょう。
その一方、2DCADによる作図は、専門性のあるスキルではなくなってきており、図面を描くだけで高い給与を得たり、昇給しつづけるのは難しくなったと言えるでしょう。
今後は、2DCADによる設計は最低限できなければならないものだと考え、より業界の知識や設計の知識を持った専門性の高さが求められています。
今後も続く需要
技術の進歩により、ただ図面を描くだけではもう需要がないのでは?と不安になってしまった方もいるかもしれませんが、そうとも限りません。
正社員として雇用される場合には、プラスアルファの何かが必要ですが、派遣社員として働く場合、作図ができるだけでもまだまだ需要があります。
設計業務は、設計変更が多く、修正業務が多い仕事です。また、納期に追われる業務であるため、繁忙期ともなると、設計業界で働く人は皆、猫の手も借りたいと思うものです。
設計者は、繁忙期になるといくつかの案件を一人でかかえている場合も多く、軽微な変更や修正業務を自分でおこなっている余裕がなくなります。そこで、繁忙期だけ派遣を雇えば、最低限の人件費で、スムーズに業務をおこなうことができるのです。
設計者にとって救世主ともいえる存在である派遣の需要は、他の雇用形態より高いと言えます
派遣は、ソフトを扱うことはもちろん、設計業務に欠くことのできないEXCELの基本的な操作と基礎的な関数が使えたり、プレゼンの際に必要になるPowerPointやIllustratorなどの基本操作ができたり、その分野における専門性の高い知識やスキルを身につけておくと、長く重宝されるでしょう。
また、大手ゼネコンなどをはじめとして、BIMを導入する企業が増えています。現在、大手企業ではRevitやArchiCADなどのソフトを使いこなせる人材が不足しており、需要が高いと言えます。
将来的にBIMが主流になることが予想されますので、今後仕事を続けていくのであれば、今のうちに知識を付けておきましょう。
“何歳まで”よりスキル・経験が重視される
CADオペレーターは「何歳まで」といった年齢よりも、スキルや経験を重視する職業です。
建築設計事務所で働くには、建築の知識が必要ですし、自動車設計の場合は、自社製品に対する知識を興味が大切、インテリアの場合は、日頃からの家具への興味が必要です。
各業界の専門知識をもった人が図面を作成するのと、知識の無い人が図面を作成するのとでは、設計者の考えを聞き取る能力などで、大きな差が出てくることでしょう。
たとえば土木設計の業界であれば、一級土木施工管理技士の資格取得を目指しながら、土木系のCADオペレーターとして業務をする人と、土木に対する興味も関心もない人が業務をするのとでは、大きな差が出ます。
デザイン系の事務所であれば、adobe製品と連携することが多いので、IllustratorやPhotoshopのスキルをつけておくと、きっと役に立つことでしょう。
また、技術で評価される職業であるといっても、職場内でのコミュニケーションの能力も、ある程度は必要になる場面があります。
特に大きなプロジェクトに参加する場合、CADオペレーターが複数人いる場合もあり、このようなケースでは、設計者やデザイナーの他とのコミュニケーションが必要不可欠になります。
何歳までも、長く活躍したいと考えるのであれば、業界の最新技術に関心を持ち、業界の変化について興味を持つことが必要です。
何歳までも活躍するためには
何歳まで働けるのか?という疑問については、その人が何歳まで技術に興味を持って、頭の中をアップデートしつづけられるのか、という部分によって変わってくると言えるでしょう。
近年、各業界で人工知能(AI)が導入され、人間の手も必要なくなる仕事もでてくるのでは、という話も巷で聞かれるようになりました。
AIの導入が増え続けているいま、生き抜く為に必要なのは、新しい技術を取り入れ続ける興味と、人間特有のコミュニケーションの能力ではないかと言われています。
AIでは理解することが難しい設計士の言葉の癖や微妙なニュアンスを汲み取り、それを理解した上で、図面の作成や修正をすることができます。これはAIにはまだまだ難しい技でしょう。人工知能が一般的になってくると、図面が作成できるという技術を持ってるというだけでは、簡単にAIに仕事を取って代わられることになるかもしれません。
また従来の2DCADは、線や円などのツールを使い、平面図や立面図を作成し、物体を図面に表現してきました。この方法は、製図板やドラフターを使い、手書きで図面を作成していたものを、そのままデジタルに移行したような方法でした。
これに対し、3DCADは作成した正方形や円の縦横の情報に、高さの情報を与えてやる事で、当初より立体的な図形として作成し、完成したモデルから必要な部分の2D情報を抜き出すという工程で図面を作成します。
加えて、建設業界では、ArchiCADやRevitなどのソフトの導入が進んでおり、今後はBIMが主流になっていくことが予想されます。
現在はまだBIMを扱えるCADオペレーターの数は不足しており、需要が追いついてない状態です。今後も長く続けていきたいと考えている人は、習得をおすすめします。
キャリアアップすれば何歳までも活躍する場は増える
建設業界で働いている場合、建築士を目指すこともできます。建築士などの資格を取得すれば、建物の設計や工事監理をする設計事務所を開設することも可能です。
一級建築士は難関ですが、企業内でも高い手当を期待でき、独立することも可能な価値があります。
建築士には、一級、二級の他、木造建築士と、更に専門性の高い設備設計一級建築士と、構造設計一級建築士があります。
二級建築士を取得する為には、専門学校や大学の指定学科を卒業する必要がありますが、7年間の実務経験があれば、学校を卒業していなくても、二級を受験することができます。
ただ、注意しなくてはいけないのは、純粋なCADオペレーターであれば、建築業界での経験としてカウントされないという点です。建築士を狙うのであれば、上司に受験の意思を伝え、工事監理などの業務をさせてもらうと良いでしょう。
二級が取得できると、一級の受験資格も与えられます。このようにキャリアアップを重ねれば、設計者としての道を歩むことも十分に可能です。
これを機に、何歳までも活躍するCADオペレーターとしての道を進んでみてはいかがでしょうか。