CAD利用技術者ってどんな資格?難易度や試験内容など徹底解説
2019.09.04
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
沢山の種類があるCADのライセンスですが、今回はCAD利用技術者試験について、難易度や合格率、勉強方法など、気になる部分を詳しく解説していきます。
目次
CAD利用技術者試験は就職に有利?
土木、建築、機械、電気、家電の設計など、ものづくりの現場においてCADは広く取り入れられ、今や欠くことのできないツールとなりつつあります。
使用する職業は、各業界の設計エンジニアはもちろんのことですが、設計エンジニアを支えるCADオペレーター、インテリアコーディネーター、デザイナー、服飾業界のパタンナーなど、多岐に渡ります。
このような業界では、個人の持つスキルや経験に重きを置く傾向が強く、取得した資格よりも「実際にどんな業務ができるのか」という部分を判断されたうえで、採用となるケースが多いです。
もちろん取得した資格は、履歴書の記載欄に書くことができるため、印象は記載なしよりもプラスになる可能性があります。
しかしながら、このような業界に就職や転職を考えているのであれば、資格取得はあくまでも補足的なものであり、まずは実務の中で発揮できるスキルを磨き上げることを重視すべきだと言えます。
CAD利用技術者試験の概要
CAD利用技術者試験には、以下の種類があります。
・二次元CAD利用技術者試験基礎
・二次元CAD利用技術者試験 1級(建築、機械、トレース)2級
・三次元CAD利用技術者試験 1級、準1級、2級
CAD利用技術者試験の入門編が、二次元CAD利用技術試験基礎になります。ここでCAD技能の基礎を学び、二次元CAD利用技術者2級にすすんでいく事になります。
1級では「建築」「機械」「トレース」の3分野に分かれていますので、自分の目指す業界に適した分野を選択してチャレンジしましょう。
CAD利用技術者試験のスケジュール
CAD利用技術者試験の申込みは、試験の1〜2ヶ月前に開始となります。なお、種類ごとに日程が異なるので注意しましょう。
二次元CAD利用技術者試験基礎2級の試験は随時実施されており、結果においても即時発表されます。
二次元CAD利用技術者試験 1級(機械、建築、トレース)
・申込み
1期……4月上旬から5月中旬頃
2期……8月下旬から9月下旬頃
・試験日程
1期……6月中旬頃
2期……11月中旬頃
・合格発表
1期……8月中旬頃
2期……1月下旬頃
三次元CAD利用技術者試験
・申込み
1期……5月上旬から6月上旬頃
2期……10月上旬から11月上旬頃
・試験日程
1期……7月中旬頃
2期……12月中旬頃
・合格発表
1期……8月下旬頃
2期……1月下旬頃
CAD利用技術者試験の試験内容と合格率
二次元CAD利用技術者試験基礎
・受験資格
特になし
・試験時間
50分
・試験内容
CADシステムの基礎知識と利用、CADを動作させるコンピュータシステム、ネットワークの基礎知識、情報セキュリティと知的財産、製図の基礎、図形の基礎
・合格ライン
70%以上の正解率
・受験料
4,000円(税抜)
・合格率(平成30年)
受験者…… 494人
合格者…… 393人
合格率…… 79.6%
二次元CAD利用技術者試験2級
概ね半年以上CADについて学習している方や、CADを使う業務に従事している方を対象としているライセンスです。
・受験資格
特になし
・試験時間
1時間
・試験内容
CADシステムについての出題
CADシステムの概要や基本機能、運用や管理について、ハードとソフト、情報セキュリティと知的財産、3DCADの基礎知識
製図についての出題
製図一般、製図の原理と表現の方法、製図における図形の表現の方法
・合格ライン
CADシステムおよび製図の各分野で50%以上、総合で70%以上の正解
・受験料
5,500円(税抜)
・合格率
受験者…… 4186人
合格者…… 2103人
合格率…… 50.20%
二次元CAD利用技術者試験1級
「機械」「建築」「トレース」の3分野に分かれています。
・受験資格
2級の合格者か、過去に1級に合格したもの
・試験時間
80分
・試験内容
受験する分野により異なり、実技試験と筆記試験の両方で合否が決定します。出題比率は3分野共、実技試験が75%、筆記試験が25%となっています。
・合格ライン
実技試験と執筆試験で各50%以上の得点、総合で70%以上の正解
・受験料
一般受験者15,000円(税別) 過去の1級合格者10,000(税別)
・合格率(平成30年)
・1級(トレース)
受験者…… 30人
合格者…… 18人
合格率…… 60%
・1級(建築)
受験者…… 90人
合格者…… 56人
合格率…… 62.22%
・注意事項
事前に解答枠のダウンロードを行っておきましょう。ダウンロードをしていない場合は採点対象外となり、当日は、解答枠の提供も行われないので注意してください。
三次元CAD利用技術者試験
1級、準1級、2級に分かれています。機械設計、自動車、電気などの設計業務で3DCADを使用する受験者を想定して作られたライセンスです。
・受験資格
2級は特に指定されていません。準1級と1級については、2級の有資格者であることが条件で、2級との併願受験も可能です。
・試験時間
2級は60分。準1級と1級は120分。
・試験内容
2級
三次元CADデータの活用、管理と周辺知識、機能と実用的モデリング手法、概念
準1級
二次元図面からの作図能力問題、CADリテラシー問題、空間把握能力問題
1級
二次元図面からの作図能力問題、部品組み立て能力問題、空間把握能力問題、CADリテラシー問題
・合格ライン
各分野50%以上の得点、および総合70%以上の正解が必要です。
・受験料
2級……7,000円(税抜)
準1級……10,000円(税抜)
1級……15,000(税抜)
・合格率(平成30年後期)
2級
受験者…… 1688人
合格者…… 798人
合格率…… 47.3%
準1級
受験者…… 527人
合格者…… 276人
合格率…… 52.4%
1級
受験者…… 317人
合格者…… 77人
合格率…… 24.3%
CAD利用技術者試験はあくまでもスキルを磨くための通過点
CAD技術者試験は国家試験ではありませんが、数ある資格の中でも、特にポピュラーなライセンスのひとつです。
しかし、業界では、取得したライセンス、学歴、テストの点数より、即戦力になり得る技能を持っているかを評価する傾向が強いです。
したがって、CAD利用技術者試験受験後にものづくりの現場に就職したいと考えている方は、CAD資格の取得はあくまでも自分のスキルを高めるための手段であり、ひとつの通過点だと考えておくことが重要でしょう。
そのため、継続して勉強を続け、スキルを磨くことが大切です。
その他のCAD関連資格も併せてご紹介!
CADに関する資格は、CAD利用技術者試験のほかに、建築CAD検定試験、CAD実務キャリア認定制度など、多くの種類があります。
自分が就職・転職したい業界に見合ったスキルが得られるのかどうかを考えて、チャレンジするライセンスを決める必要があります。
最後に、CAD利用技術者試験以外の関連する試験について簡単にご紹介します。
建築CAD検定試験
一般社団法人全国建築CAD連盟が運営しているライセンスで、「二次元CAD利用技術者試験1級(建築)」とは別です。
准1級、2級、3級、4級と、4つの等級に分かれており、特に受験資格は規定されていません。初めての受験でも好きな等級から受験することが可能です。
また、全ての等級の試験で、実際にCADシステムを使用する実技試験がおこなわれますので、トレースや作図などのスキルが必要になります。
※一般受験と団体受験があり、4級については高校生の団体のみが受験可能です。
・認定団体
一般社団法人 全国建築CAD連盟
・受験資格
特になし
・受験費用
准1級……14,400円(税抜)
2級及び3級……10,300円(税抜)
4級……3,100円(税抜)
※2級と3級と併願した場合は、16,500円(税抜)。
・試験内容
CADシステムを用いたトレースや作図など、全ての等級で実技試験があります。
CAD実務キャリア認定制度
CAD実務キャリア認定制度は、業務の中で実際に利用する人を対象としているライセンスです。NPO法人コンピューターキャリア教育振興会と日本学び協会が運営しており、スキルや技能を認定しています。
試験は3種類に分かれており、「CADアドミニストレーター認定試験」「3次元CADアドミニストレーター認定試験」「3次元CADトレーサー認定試験」があります。
試験は実技試験のみで、自宅のPCで受験するシステムを採用しており、試験中に参考書をみても構いません。
・認定団体
主催 NPO法人コンピューターキャリア教育振興会・日本学び協会
実施 CAD検定協会
・受験資格
特になし
・受験費用
3次元CADトレーサー認定試験
一般受験……13,400円
学生割引……9,300円
3次元CADアドミニストレーター認定試験
一般受験……10,300円
学生割引……6,200円
CADアドミニストレーター認定試験
一般受験……7,200円
学生割引……5,200円
・試験内容
試験は実技試験のみで、試験中に参考書をみても問題はありません。
オートデスク認定資格プログラム
全世界共通で実施されているオートデスク製品の知識や操作技術を評価する試験です。国際的な舞台で活躍するエンジニアにとって、価値のある資格だと言えます。
日本では、学生やオートデスクの製品を扱う職種を希望する人を対象としている「オートデスク認定ユーザー試験」と、オートデスク製品のプロ向け技術を学ぶ「オートデスク認定プロフェッショナル試験」の2種類があります。
・認定団体
オートデスク認定資格事務局
・受験資格
プロフェッショナル
明確な条件はありません。ただし、オートデスク認定ユーザー資格保持者や、400時間以上の製品使用経験がある人の受験を推奨しています。
ユーザー
最新のコース及び50時間の製品使用経験がある人を推奨しています。
・試験内容
プロフェッショナルは実技形式がメインの出題となっていますが、ユーザーは選択式と実技形式の2種類の出題です。