CADの資格は独学で取れる?効率的な勉強方法と資格取得後の進路について
2019.05.29
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
CADの資格を独学で取得できれば、スクールに通う費用なども節約できますよね。実際のところ、独学で技能試験に合格することはできるのでしょうか?この記事では、CAD試験の難易度や独学で勉強する方法を解説するとともに、取得した資格を仕事で活かす方法もご紹介しています。ぜひとも参考にしてください。
目次
CADの資格取得は独学では難しい?
資格を独学で取ろうと考えている人は、どのような資格があって、どの程度の難易度なのかといったポイントを押さえておくことが大切です。
CADの資格といっても、住宅、ビル、橋などを造る建築・土木業から、自動車、航空機、家電製品などを造る製造業界、アパレル業界、家具・インテリア業界、広告業界など、実にさまざまな分野で取り入れられています。それぞれ求められる知識やスキルなどが異なりさまざまです。
CADの資格であっても様々な種類がある
例えば、CADを取り入れている業界では特に認知度や評価が高い「CAD利用技術者試験」、受験資格などを特に定めていない「CAD実務キャリア認定制度」「建築CAD検定試験」、CAD関連のソフトを開発しているAutodeskによる「オートデスク認定資格プログラム」などがあります。
その中でも特に「CAD利用技術者試験」については、企業からの認知度も高いと言われており、取得を目指す人も多いです。以下の部分では、それぞれの技能試験について解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
CAD利用技術者試験
一般社団法人コンピュータ教育振興協会が実施している民間資格です。基礎試験は自宅で受験できることもあり、平成28年時点で約65%と比較的高い合格率ですが「2次元CAD利用技術者試験2級」となると約53%、「1級」は約41%と難易度が高くなります。「3次元CAD利用技従者試験」も2級が約42%、準1級が約51%、1級が約43%となります。試験内容は2次元の場合には主に図面のトレース能力、3次元の場合には立体的な図形のモデリング能力を見るものとなっています。CAD利用技術者試験は多数あるCAD試験の中でも、最も基本の一つです。
オートデスク認定資格プログラム
こちらは、AutoCADなどを開発しているAutodesk社が主催している資格です。全世界では、およそ20万人のCADユーザーが取得しています。「オートデスク認定ユーザー」と「オートデスク認定プロフェッショナル」の2種類があり、「オートデスク認定プロフェッショナル」のほうが難易度が高くなっています。試験内容はAutoCAD、およびAutodesk Revit Architecture、Autodesk Fusion 360の操作技術に関するものとなっています。
CAD実務キャリア認定制度
NPO法人日本学び協会CAD検定部会が主催しています。試験科目は、3次元CADトレーサー認定試験、3次元CADアドミニストレーター認定試験、CADアドミニストレーター認定試験、TCADs(Test of CAD for skill)の4種類で、総合的な技術を見る試験となっています。こちらは点数制になっていて、1級や2級などの等級は存在しません。
建築CAD検定試験
こちらは、建築に特化したCADの試験です。主催しているのは全国建築CAD連盟で、4級から准1級までの等級があります。ただし、4級は学生のみが受験可能で、一般では3級からの受験が可能となっています。試験内容は図面のトレースが中心で、ラフスケッチを元にした作図能力なども見られます。この試験を受ける際には使用するCADの制限がなく、AutoCADやJw-CAD、Vectorworksなど様々な汎用CADを利用して試験を受けることが出来ます。
CADの資格およびスキルを独学で身につけるには
資格を独学で効率よく学ぶためには、いくつかのコツがあります。まず、大前提として「目標を明確にすること」です。
目標を明確に!
独学は自分のペースで学べる反面、いったん気が緩んでしまうと取り戻すのが大変です。特に「なんとなく資格を取りたい」などといった曖昧な目標では、独学で勉強し続けることは難しいでしょう。「○月○日までにテキスト1冊修了させる」といった、具体的かつ実現可能な目標を細かく設定していきましょう。独学用カレンダーを作って、常に目に入る場所に貼っておくのもおすすめです。
テキスト選びも重要!
CAD操作に欠かせないのが「コマンド」です。テキストの中には「コマンド」について詳しく書かれているだけで、実践的な「図面の作成」まで解説されていないものもあります。それでは、ただ「コマンドを実行できるようになった」だけで終わってしまいます。「コマンド」の説明ももちろん重要ですが「図面の作成」まで解説されているテキストを選びましょう。特にDVD付きのものなら映像を見ながら進められるので、分からない部分も解消しやすく、おすすめです。
独学で取得した資格は実際に就職に役立つのか?
結論から言うと、CADオペレーターの仕事は実践的な能力が物を言うため、独学で取得しても、スクールに通って取得しても、転職や就職に際して必ずしも有利には働きません。ただし、自分自身のモチベーションを高めたり、学習意欲をアップさせる、といった目的で資格を取得するのは良いことだと言えます。
CADオペレーターを採用している企業では、実務経験、勤続年数などが重視されるケースが多いです。それだけ、即戦力となる人材を期待していると言うことができます。
なお、資格を取得しておけばそれなりの基礎知識を持っていることが示せるため、初めてCADオペレーターの仕事をする場合などには、あらかじめ資格を取得して自分の自信を高めておくのも良いかもしれません。
また、どんな業界で働きたいのかによって、必要とされる知識なども異なってきます。その業界の知識がなければ関連分野の会社で仕事をすることは出来ません。資格を取得する際には、こうした点も踏まえて、自分が進もうとしている道に合った資格を目指すということが大事です。
例えば、建設業界を目指すのであれば、建築CAD検定試験を受験しておくと良いですし、製造分野などで活躍したい場合には2次元CAD利用技術者試験(機械)やCAD実務キャリア認定制度、オートデスク認定資格プログラム試験などを取得しておくと良いです。しかし、先にも書いたように、いくら資格を取ったからと言って、それが就職にとって必ずしも有利になるわけではない点には注意が必要です。
CADを使用している業界にはどんなところがある?
では、実際にCADを使用している業界について解説していきます。求人数が多いのは建設業界や土木業界、製造業界などですが、最近では内装・インテリア業界などでも求人数が増えてきています。
建設業界
建設業界では、建築物の設計や製図を行います。主に使用しているソフトはAutoCADやJw-cadなどですが、最近ではAutodesk RevitやArchiCADなどのBIMソフトを導入するところも増えてきています。
土木業界
土木業界では、公園、道路などの設計や製図を行います。場合によっては3Dパースや鳥瞰図・俯瞰図の作成もしなくてはいけません。主に使用しているソフトはAutoCADやJw-cadの他、DynaCAD土木PlusやA納図(エーノート)、HO_CAD paoなどになります。
製造業界
製造業界では、モノづくりを行うために工業デザイナーなどが起こした図面をパソコン上に書き写すことになります。主に使用しているソフトはSOLIDWORKSやAutodesk Inventor、Autodesk Fusion 360などです。
インテリア・家具業界
インテリア・家具業界においても、空間デザインなどを含めてCADを用いた製図業務が行われます。インテリア・家具業界で働く場合、業務内容は建設業界と似たようなものとなっています。例えば、店舗の設計や改装、インテリアの配置決定などに使用されます。主に使用しているのはVectorworks 、AutoCADなどです。
アパレル業界
アパレル業界では、パターンメイキング、グレーディング、マーキングという3種類の工程でCADが用いられます。使用しているソフトはアパレル業界自らが開発したソフトであることが多く、一例として東レのクレアコンポやAGMS株式会社のAGMS、フリーソフトの洋裁CADなどの名前を挙げることが出来ます。
福祉業界
福祉業界ではバリアフリー構造の建物などを作る際にCADが使用されます。使用するソフトはAutoCADやJw_cadなどで、建設業界やインテリア・家具業界と共通したものになります。福祉業界で働く場合は、高齢者や障がいのある方が住みやすく、使いやすい住環境の改修プランを提案することができる、福祉住環境コーディネーターという資格もあります。取得することで、利用者に寄り添ったアドバイスをすることができたり、製図への反映の提案をすることができます。
取得したCADに関する資格を仕事で活かす方法
独学でスキルや知識を身につけ、見事試験に合格したら、早く現場で資格を活かして活躍したいですよね。CADオペレーターの仕事の種類や業務内容、雇用形態、気になる給与などを見てみましょう。
仕事は「建築・土木業界」「自動車・航空業界」「機械・家電業界」「アパレル業界」「家具・インテリア業界」「福祉業界」「広告業界」など、実にさまざまです。いずれも設計や製図のオペレーターがメインになってきますが、設計アシスタントなどの業務も募集が増えています。
雇用形態は正社員、契約社員、派遣社員、パートなどさまざまですが、その中でも「派遣社員で働く」という選択をする方も多いです。
その理由としては、週4勤務や時短勤務などが可能だったり、育児休暇後に復職しやすい、ライフスタイルに沿って勤務しやすいなどが挙げられます。
それでいて、決して低くない給与も魅力になっています。あくまで平均ですが、時給は1500円程度から、時給2000円以上という求人情報も実はそれほど珍しくありません。経験やスキルによって勤務条件や給与面の待遇なども相談できるのが、CADオペレーターの強みなのです。