「CADオペレーターはいらない仕事」って聞いたけど本当?将来的にはどうなるの?
2023.12.27
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
インターネットでCADオペレーターについて調べていると、「CADオペレーターはいらない仕事」などというネガティブな発言を目にしたこともあると思います。
本記事では、CADオペレーターは「いらない仕事か」「そうではないのか」についてひとつの見解を出したうえで、CADオペレーターの役割について解説します。
記事の後半では、業界の動向を掘り下げ、将来的なCADオペレーターの役割を考えてみます。
CADオペレーターになろうか検討している方は、この記事を通して、ご自身の将来像を想像していただければと思います。
目次
「CADオペレーターはいらない仕事」はウソ
「CADオペレーターはいらない仕事」という声は、実際の業界の状況を見れば間違いというのがわかります。CADオペレーターは、建築、機械設計、土木などの分野で、精密な図面や3Dモデルの作成に不可欠です。
確かに、CADソフトウェアが進歩して、簡単な作業は自動でできるようになりました。でも、それによって新しい技術も生まれています。例えば、AIを使ってデザインをさらに良くしたり、難しいプロジェクトのシミュレーションをしたりすることができます。
市場では、特に環境にやさしい建物を設計したり、顧客の希望に合わせた製品を作ったりするのが重要になっています。だからこそ、CADオペレーターの仕事はこれからも大切で、まだまだ必要とされる職業です。
CADオペレーターの役割
CADオペレーターの仕事は、パソコンを使って図面を描くことですが、彼らの役割はそれだけではありません。ここでは、CADオペレーターがどのような作業をしているのか、具体的に見ていきましょう。
図面作成
CADオペレーターの役割のメインは「図面作成」です。これは、建物や機械部品などを製造する前に必要な、精密で詳細な設計図を描く作業です。
この図面には、寸法、使用する材料、組み立ての手順などが記載され、製品の品質と正確性を保証します。CADソフトウェアを使用することで、図面は高い精度で作成され、設計ミスのリスクを減らし、プロジェクトの効率を高めます。
CADオペレーターによる図面作成は、建築から機械設計に至るまで幅広い分野で不可欠な役割を果たしています。
3Dモデリング
CADオペレーターの重要な役割の一つに、3Dモデリングがあります。これは、建築物や製品をコンピュータ上で立体的に表現する作業です。
この技術を使うことで、まだ実際には存在しない建物や製品を、あたかも実物のように視覚化できます。3Dモデルは、単なる図面よりもずっと詳細で、設計の細部まで正確に表現することが可能です。
これにより、設計者やクライアントは、建設や製造を始める前に、建物や製品が実際にどのように見えるかを理解し、必要に応じて変更を加えることができます。
また、3Dモデリングは、構造上の問題を早期に発見し、修正する手助けもします。この技術は、建築、製造業、製品設計など、多くの分野でCADオペレーターにとって不可欠なスキルとなっています。
プロジェクトチームとの連携
CADオペレーターはプロジェクトチームと密接に連携し、設計プロセスの中核を担います。エンジニアや建築家からのアイデアや要件を受け取り、それを具体的な設計図に変換する重要な役割を果たします。
このプロセスでは、CADオペレーターが設計図を作成・更新し、プロジェクトの各段階での変更や改善を反映します。CADオペレーターは技術的な知見を持ち、複雑な構造や機械部品の詳細を正確に表現する能力が求められます。
また、チーム内のコミュニケーションは極めて重要で、CADオペレーターは他のメンバーとの意思疎通を図りながら、効率的かつ効果的な設計を実現します。この連携により、プロジェクトはスムーズに進行し、最終的な成果物の品質が保証されます。
最新技術の習得
CADオペレーターにとって最新技術の習得は、常に進化する業界に適応し、作業の質を高めるために不可欠です。
新しいCADソフトウェアは、より高度な機能と精度を提供し、複雑な設計や3Dモデリングを容易にします。
例えば、AIを利用した自動設計支援、よりリアルなレンダリング技術、効率的なデータ管理などが新たに導入されています。これらの技術は、設計プロセスを加速し、エラーの減少、プロジェクトの効率化をもたらします。
最新の技術を身に付けることでCADオペレーターとしての市場での需要を維持し、自身のキャリアに繋げることが可能になります。
業界の動向 | CADオペレーターは将来的にいらない仕事になる?
将来、CADオペレーターが不要になるかどうかについては、「いいえ」と言えます。以下に、その理由を説明します。
複雑な設計はCADオペレーターが必要
CADの業界では、昨今AIのような技術が一部の作業を自動化しています。ですが、完全に自動化できるのは繰り返し作業や単純なタスクに限られます。
複雑な設計や独創的なデザインを生み出すためには、人間のCADオペレーターの創造性と判断力が引き続き必要です。
逆に言えば、データを書き写すだけのトレース業務は昔と比べ少なくなってきているのも現状です。
3DプリントやVRなど新しい技術が出てきた
CADオペレーターは、3Dプリントやバーチャルリアリティ(VR)などの新しい技術を取り入れることで、より革新的な設計を行えるようになっています。
このような技術の進化に伴い、CADオペレーターの技術も進化し、より価値の高い役割を担うことになります。
個人のニーズに合わせた設計の需要が増している
環境に配慮した設計や、個人のニーズに合わせたカスタマイズ製品の需要が増えています。これらの分野では、CADオペレーターの技術が中心的な役割を果たし、新しい設計の可能性を拓いています。
人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業
野村総合研究所のレポートでは、CADオペレーターが将来、人工知能やロボットに取って代わられる可能性がある職業の一つとして挙げられています。
引用:「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」
これは、CADの基本的な操作やデータ入力など、簡単な作業が自動化されることを意味します。
しかし、CADオペレーターの仕事がなくなるというわけではありません。むしろ、新しい技術を使いこなし、創造的な設計や複雑なプロジェクトを手がけることが、これからのCADオペレーターに求められるスキルということです。
つまり、より高度な技術を学び、それを活用して新しいものを生み出す能力が、CADオペレーターには重要になってきます。
まとめ
CADオペレーターの役割は、技術進化により変化しているものの、市場での重要性は依然として高いです。新技術の登場は、効率化とともに新たなスキルの必要性を生み出しています。
市場需要は安定し、特に環境設計やカスタマイズされた製品設計での需要が拡大しています。継続的な学習と適応が必要ですが、CADオペレーターの将来は明るいと言ってもいいかもしれません。