「CADオペレーターはやめとけ」と言われる理由を解説 | 職種別に見る仕事内容や辛いと思うポイント
2023.09.28
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
CADオペレーターの職に就くことを考えているなら、きっとあなたも「CADオペレーターはやめとけ」という言葉に触れたことがあるのではないでしょうか。
「なぜ多くの人がこのような意見を持つのか」、そして「それは本当なのか」気になりますよね。
本記事では、CADオペレーターの具体的な仕事内容から、職業としてのリアルなメリットやデメリットまで、幅広く解説します。
実際にCADオペレーターとして働く中での喜びや苦労、そしてこの職種が向いている人の特性など、現場の声をもとに詳しくお伝えします。
CADオペレーターとしてのキャリア選択を検討中の方、必読の情報が詰まっています。
目次
CADオペレーターはやめとくべき?CADオペレーターの仕事内容
CADオペレーターの仕事と聞くと、多くの人は高度な専門スキルを持った技術者というイメージを持つかもしれません。
確かに、この仕事は専門的なスキルが求められる分野です。
しかし、なぜ「CADオペレーターはやめとけ」という声が上がるのでしょうか。
まず、CADオペレーターの主な仕事内容を理解するところから始めましょう。
CADオペレーターとは
CADオペレーターは、Computer Aided Design(コンピュータ支援設計)の略で、コンピュータを使用して設計図や図面を作成する専門職です。
CADオペレーターは建築物の設計から機械部品、インテリアデザインなど、さまざまな分野で活躍しています。
主な業務内容
設計図の作成
クライアントや設計担当からの指示に基づき、CADソフトウェアを使用して詳細な図面や設計図を作成します。
既存の図面の修正
変更や追加が必要な場合、既存の図面を修正します。
データ管理
作成した図面のデータ管理や、他の部署とのデータの共有・連携を行います。
このように、CADオペレーターの仕事は非常に専門的で、高度な技術が求められる一方で、細かい作業が多いため集中力も必要とされます。
では、なぜ「やめとけ」と言われるのか。この背後には、仕事の内容だけでなく、業界の実態や働く環境、そして待遇面など、多くの要因が絡み合っています。
本記事では、これらのポイントを深掘りしながら、真実の部分を明らかにしていきます。
仕事内容・職種別に見るCADオペレーターの業務難易度
CADオペレーターと一口に言っても、業種や職種によって業務内容や求められるスキルが大きく異なります。
それぞれの特性を理解することで、自分に合った分野を見つける手助けとなるでしょう。
建築CADオペレーター
建築CADオペレーターは、建築物の設計図や立面図、断面図などを作成する職種です。
主な業務
- 建物の平面図、立面図、断面図の作成・修正
- 既存の設計図のデジタル化
- 各種設備や構造の配置図の作成
必要なスキル・知識
- CADソフトウェアの操作技術
- 建築に関する基礎知識(建築基準法、建築構造など)
- 空間認識能力や精密な計測能力
特徴
- 複雑な構造物の設計が求められることが多い
- 建築基準法などの法規制に基づいた設計が必要
内装CADオペレーター
主に室内のデザインや家具の配置図を手がける職種です。
主な業務
- 室内のデザインや家具の配置図の作成・修正
- 照明や配線の計画図の作成
- インテリア素材や色の提案図面の作成
必要なスキル・知識
- CADソフトウェアの操作技術
- インテリアデザインや家具、照明に関する基礎知識
- クライアントの要望を具現化するセンス
特徴
- クライアントの要望を具体的に形にするクリエイティブな作業が中心
- 細部にわたるデザインが求められることが多い
土木CADオペレーター
道路や橋、ダムなどの大型インフラの設計を担当します。
主な業務
- 道路、橋、ダム、河川、下水道などの大型インフラの設計図の作成・修正
- 施工図面や現場対応の図面の作成
必要なスキル・知識
- CADソフトウェアの操作技術
- 土木工学や土木構造物の基礎知識
- 地盤や水理学などの専門的な知識が場面によっては必要
特徴
- 大規模なプロジェクトに携わることが多い
- 安全性や耐久性を考慮した設計が求められる
設備CADオペレーター
ビルや工場の電気や空調、水道などの設備図を作成します。
主な業務
- ビルや工場の電気、空調、水道、排水などの設備図の作成・修正
- 設備の配置や配管ルートの設計
必要なスキル・知識
- CADソフトウェアの操作技術
- 機械、電気、空調、給排水などの設備に関する基礎知識
- エネルギー効率や環境規制に関する知識
特徴
設備の配置や配管のルートなど、細部までの設計が求められます。
省エネやコスト削減の観点からの設計が必要になります。
その他CADオペレーター
この分野は、一般的なカテゴリに当てはまらない特殊な設計を手がけるオペレーターを指します。例えば、船舶や航空機、玩具の設計などが含まれます。
主な業務
- 船舶、航空機、玩具、家電、自動車部品などの特定の製品や機器の設計図の作成・修。
- 専門的な分野に特化した図面の作成・調整
必要なスキル・知識
- CADソフトウェアの操作技術
- 当該分野の専門知識や設計原則
- 物理的、機械的、電気的性質に関する知識
特徴
- 専門性が高く、特定の分野に深い知識が求められる
- ニッチな分野での求人も多い
「CADオペレーターはやめとけ」と言われる8の理由
CADオペレーターの業界に関する一般的な誤解や偏見を解消するために、「CADオペレーターはやめとけ」という声の背後にある8つの理由を詳しく解説していきます。
残業
CADオペレーターが関わるプロジェクトの多くは、緻密な計画や複雑な設計が要求されます。これにより、完璧な仕上げを目指すあまり、予定外の残業が増えることが少なくありません。
特に、最終確認や微細な修正が求められる段階では、締め切り前の短期間に大量の作業が集中するため、深夜までの作業が常態化する場合もあります。
年収・給料
CADの技術は高度でありながら、その報酬は必ずしも期待に応えるものではないことが多いです。
経験やスキル、さらには業界や企業の規模によっても異なりますが、他の技術職と比較して平均的な給与水準であることが一般的です。
体調不良
長時間の座った作業や、細部にわたる精密作業は、肉体的・精神的なストレスを生むことがあります。
継続的な目の負担や不適切な姿勢は、目の疲れ、腰痛、首や肩のコリなどを引き起こし、これが長期化するとより深刻な健康問題へとつながる可能性もあります。
学習・専門知識
CAD関連のソフトウェアやツールは絶えず更新され、新しい技術が導入されます。
このため、定期的なスキルアップが必須となり、自身の時間や費用を投じて継続的に学ぶ必要があります。
人間関係
CADオペレーターの仕事は協力を基盤としています。これには、他部署や外部の関連業者とのコミュニケーションが欠かせません。
しかし、設計意図のズレや認識の不一致などが生じると、それが人間関係の摩擦やトラブルの原因となることがあります。
納期
設計業務は納期を守ることが絶対です。しかし、途中での設計変更や追加要望、それに伴う調整が入ると、元々のスケジュールが狭まり、納期に対するプレッシャーが増加します。
単純作業
設計には、創造的な要素と反復的な要素の両方が含まれます。特に反復的な作業は、時間とともに退屈に感じられることがあり、モチベーションの低下を招く可能性があります。
業務難易度
複雑な設計要求や新しい技術の導入により、業務の難易度は日々高まっています。この難易度と報酬のバランスが取れない場合、仕事の満足度が下がる原因となります。
CADオペレーターとしての日々は確かに多くの課題を伴いますが、それと同時に、設計の成果を実際に形にする喜びや、チームでの共同作業の充実感など、多くの報酬も得られる職種です。キャリア選択の際、真の意味での「やりがい」と「挑戦」を求める方には、CADオペレーターとしての道が待っています。
「CADオペレーターになってよかった」とみんなが思った瞬間
CADオペレーターとしての仕事は数々の課題を伴うことは先ほど触れましたが、その一方で、この職に就いて感じる多くの喜びも存在します。
CADオペレーターたちが「この仕事を選んでよかった」と心から感じる瞬間を7つご紹介します。
制作物が完成したときの達成感
何時間もの作業時間をかけて、一つ一つの細部を緻密に設計した制作物が完成する瞬間。
その制作物が現実のものとして形になることは、筆舌に尽くせない程の喜びをもたらします。
また、実際に現場で使用される設計図が完成するたびに、その役割の大切さを実感することができます。
専門性の高い仕事だからやりがいを感じることが多い
CADオペレーターは、特定のスキルや知識を必要とする専門的な仕事です。
この高い専門性から、日々の業務において、自分の技術や知識を活かすことができるため、常にやりがいや達成感を感じることができます。
募集している求人が多いから、未経験でもチャンスがある
CADオペレーターのニーズは高く、多くの企業が求人を出しています。
そのため、未経験者でもチャレンジしやすい環境が整っており、新しいキャリアを歩みやすくなっています。
オフィスワークだから体力的に余裕が生まれた
フィールドワークや現場作業とは異なり、オフィスでの作業が主となるので、体力的な負担が少なくなります。
これにより、仕事後のプライベート時間を有効に使うことができ、ワークライフバランスの維持が容易になります。
在宅勤務が可能
多くのCAD作業はPC一台で完結するため、在宅勤務やリモートワークが他の職種に比べて容易です。
これにより、自宅での勤務を選ぶことで、通勤時間の削減や家族との時間を確保することが可能となります。
PCスキルが身に着いた
日々の業務を通じて、高度なPCスキルや専門的なソフトウェアの操作技術を習得することができます。
これは、今後のキャリア展開や他分野への挑戦時にも役立つスキルとなります。
個人事業主として独立して、仕事量を自分で調整できるようになった
CADオペレーターのスキルは、フリーランスや個人事業主としても活かすことができます。
これにより、自分のペースで仕事を選び、収入や業務量を自らコントロールする自由が手に入ります。
CADオペレーターが向いてる人・向いていない人
CADオペレーターの仕事は特有のスキルセットや性格を持つ人々に特に向いています。
しかし、一方で、特定の性格や働き方の人々には合わない場面も存在します。
ここでは、CADオペレーターに適している人々と、そうでない人々の特徴を探ることを目的とします。
CADオペレーターが向いてる人
細かい作業が得意な人
CADオペレーターの仕事は、詳細を正確に描写することが求められます。小さなミスが大きな影響を及ぼす可能性があるため、細かい点を見落とさない集中力が求められます。
論理的思考が得意な人
設計図は、論理的かつ体系的に組み立てられる必要があります。構造の理解や問題解決能力を持っている人は、この仕事に向いています。
新しい技術やツールの学習を楽しむ人
CADソフトウェアは日々進化しており、新しい機能やツールを習得する必要があります。学び続ける姿勢を持つ人は、この職種での成功が期待できます。
CADオペレーターが向いていない人
長時間のPC作業に耐えられない人
CADオペレーターは、長時間にわたってコンピュータの前で作業をすることが一般的です。そのため、PC作業を好まない人には向いていません。
即座の結果を求める性格の人
設計や修正には時間がかかることが多く、長い時間をかけて成果を出すこともしばしばです。即座の結果やフィードバックを求める性格の人には向かないかもしれません。
変化や新しいことを受け入れるのが難しい人
CADの技術やトレンドは日々変わります。変化を受け入れるのが苦手な人は、常にアップデートを続けるこの職種には不向きかもしれません。
単独作業が苦手な人
CADオペレーターは、多くの時間を単独での作業に費やします。チームでの協力よりも独自の集中時間を重視する仕事ですので、一人での作業が苦手な人には不向きです。
CADオペレーターとしての職業には、その人の性格やスキルセットによって合う合わないがあります。しかし、適性があれば非常に充実したキャリアを築くことができます。
CADオペレーターの仕事内容に関するよくある質問
CADオペレーターは何歳まで働けますか?
CADオペレーターとしての働き手の年齢制限は特に設けられていません。技術や知識を持っている限り、健康状態を維持できるのであれば、高齢になっても活躍できます。
実際、経験や知識が豊富なシニア層のCADオペレーターは、指導やアドバイザーとしての役割を持つことも少なくありません。
CADオペレーターになるにはどんな知識が必要ですか?
CADオペレーターとしての基本的な知識として、以下の点が挙げられます。
CADソフトウェアの操作知識:AutoCAD、Revit、Vectorworksなど、業務で使用されるソフトウェアの操作を理解する必要があります。
基本的な設計知識:構造計算、材料学、建築法規などの基本的な知識が求められます。
図面読解能力:様々な図面や設計図を読解し、正確に作図する能力が不可欠です。
CADオペレーターとデザイナーの違いは何ですか?
CADオペレーターとデザイナーは、役割や専門性が異なります。
CADオペレーター:技術的な側面に焦点を当て、設計図や図面の作成・編集を行います。設計者のアイディアや要望を具体的な図面として形にする役割を果たします。
デザイナー:クリエイティブな側面に焦点を当て、新しいアイディアやデザインを提案します。概念を形にすることで、具体的な製品や建築物の形として提示します。
CADオペレーターの手取りはいくらですか?
CADオペレーターの手取りは、経験、スキル、勤務地、企業の規模など多くの要因によって変動します。
一般的に、入門レベルのCADオペレーターの年収は、300万円程度からスタートし、経験やスキルを積むことで年収は上がっていきます。
CADオペレーターに求められる人材は?
CADオペレーターとして求められる人材の特徴としては、以下のようなものがあります。
高い集中力:詳細な図面を正確に作成するための集中力が必要です。
学び続ける姿勢:CAD技術は日々進化しているため、新しい知識やスキルを学び続ける姿勢が求められます。
チームワークの精神:他の専門家やチームメンバーと協力してプロジェクトを進めるため、コミュニケーション能力や協調性が重要です。
論理的思考:図面や設計において、論理的な思考や問題解決のスキルが必要です。
まとめ
CADオペレーターの職は、技術的なスキルと専門知識が求められる仕事として知られています。
この記事を通じて、CADオペレーターの仕事の魅力と課題、業務の具体的な内容や業務難易度、また向いている人・向いていない人の特性など、幅広く深く掘り下げてきました。
「CADオペレーターはやめとけ」という意見もあれば、「CADオペレーターになってよかった」と感じる瞬間もあります。
業務の内容や難易度は、職種や専門分野によって異なるため、一概に言うことは難しいのが現実です。重要なのは、自分自身の興味や適性、キャリアのビジョンをしっかり持ち、それに基づいて判断することです。
また、CADオペレーターとしてのキャリアを考える際には、自身のスキルや知識をどのように磨いていくか、また将来的にどのような役割やポジションを目指していくかという視点も大切です。特に、技術や知識の進化が著しいこの分野では、学び続ける姿勢が不可欠です。
最後に、CADオペレーターとしての仕事は、単なる図面の作成や編集だけではありません。建築物や製品が実際に形になる際の重要なステップであり、その役割は非常に大きいことを理解してください。
この記事が、CADオペレーターという職業に関心を持つ方々の参考となり、より明確なキャリアの方向性を見つける手助けとなれば幸いです。