内装CADとは?ソフトから求人内容まで幅広く解説!
2020.06.26
- CAD・BIMオペレーター
記事ライター:キャドテク編集部
内装・インテリア業界で働くことに憧れを持っているという人は多いと思います。内装・インテリア業界でも業務にCADを取り入れており、必要なスキルのひとつとなっています。この記事では、業界で使われているソフトの種類やその特徴、業界におけるCADオペレーターの求人内容まで、幅広く解説しています。
目次
CADは内装業界をはじめさまざまな業界で活躍
CADは元々製造業界や建築業界を中心として普及してきたソフトですが、現在ではさまざまな業界でソフトを使った業務が行われています。一例を挙げれば、建設業界や製造業界の他に、アパレル業界やジュエリー業界、土木業界、福祉業界などがあり、内装・インテリア業界もその中に含まれています。
なぜソフトを業務に使うのかと言えば、それは紙の図面を使った場合、何度も回し見をしている最中に紙が擦り切れてしまったり、図面上の線の太さや濃さなどがまちまちであったりして、仕事がしにくいためだと言えます。
パソコン上で図面の清書をしておけば、図面が擦り切れることもなく、線の太さや濃さが一定であるため仕事がしやすくなります。また、パソコン上にデータを保存しておけば、それをプリントアウトすることで何枚もの図面を簡単に作成することができます。
業界で仕事をしている人の中には、インテリアコーディネーターや一級建築施工管理技士、二級建築施工管理技士、一級建築士、二級建築士といった資格を持っている人たちもいます。
また、専門職としてのCADオペレーターも募集されています。中にはソフトの扱いは未経験でも良いといった場合もありますが、通常はソフトの実務経験が問われることになります。
内装CADとは
では、業界ではどのようなソフトが使用されているのでしょうか。
主なソフト
主に使用されているのは、AutoCADやVectorworksといった汎用性の高いソフトです。また、パース作成機能の付いたソフトを使用したり、併用してパース作成ソフトを取り扱います。例えば住宅設計に特化した3DマイホームデザイナーやWalk in home、インテリア設計用の3Dインテリアデザイナーネオなどのソフトを挙げることができます。
それぞれのソフトの特徴
内装・インテリア業界で使用される主なCADソフトの特徴についてご説明していきます。
・AutoCAD
AutoCADはオートデスク社の製品で、操作がしやすいのが最大の特徴です。Windowsのお絵描きソフトであるPaintなどを使ったことがある人であれば分かると思いますが、描画用のさまざまなコマンドが用意されていて、それを用いて作図していくことになります。こうしたコマンドはアイコンから指定することもできますし、ショートカットキーを使うことも可能です。
基本的なコマンドとしては、線分コマンドや円コマンド、楕円コマンド、円弧コマンド、長方形コマンド、正多角形コマンドといったものがあります。また、手書きに近い感覚で線を引いていくことができるコマンドも存在します。作図をする場合には、こうした多彩なコマンドを組み合わせながら、作図をしていくことになります。
・Vectorworks
Vectorworksは内装業界においてAutoCADよりも導入している会社が多いソフトです。このソフトを販売しているのはA&A社で、開発を行っているのはアメリカにあるNemetschek Vectorworksという会社になります。このソフトの特徴は、一言で言えば3次元のモデリング能力に優れているという点です。
Vectorworksを使った場合、平面や曲面に色付けができたり、質感を表現するということも可能です。グラフィックソフトにも負けないくらいのデザイン編集機能が備わっていると言えます。直感的な操作ができるという点は、AutoCADと同様です。こちらもアイコンとショートカットキーの両方を利用することができます。
内装(インテリアデザイン)に利用されるCADの学び方
業界で仕事をする場合のCADの学び方ですが、これは建築系のソフトを学ぶ場合とほぼ変わりないと言えます。
具体的には、「独学で学ぶ」「スクールで学ぶ」「職業訓練校で学ぶ」といった方法が挙げられます。
独学
というのは、ソフトの中にはフリーソフトも多く、書籍やインターネット上にもさまざまな情報が解説されているため、独学で学ぶ人も多くいます。独学で学ぶ場合、自分の空いた時間を活用して技術を習得することができます。その反面、図面の読み取り能力など、実践的な面での知識や技術は不足しがちになります。こうした点を考えると、やはりCADを習得する際には次に挙げるスクールや職業訓練校などで学んだほうが効率的です。
専門スクール
スクールに通って学ぶ場合には、専用のテキストとソフトが使えるPCが用意されています。そのため、こちらはある程度実践的な事柄まで習得できると言えます。とくに建築系のスクールであれば、基礎知識も学ぶことができます。
ただし、受講料が高く、受講できる期間も限られているというデメリットがあります。なお、スクールの中には実際に教室に通うものと、通信制のものとがあります。今現在仕事をしていて、教室に通う時間がないという人は、通信制の講座を受けるというのも一つの方法です。
職業訓練校
職業訓練校に通って学ぶという方法もあります。CADに関する職業訓練校にはさまざまな形態がありますが、一定条件を満たしていれば基本的に無料で講義を受けることができます。もちろん、スクールと同じように専用のテキストが用意されていますし、訓練校内でソフトを実際に使用することも可能です。
職業訓練校の場合、主に建築系と製造系の2つにコースが分かれています。内装・インテリア業界のCAD業務は建築業界の業務と共通点がありますから、このうちの建築系のコースを選ぶのがベターです。受講できる期間としては、半年のコースや一年間のコースなどがあり、スクールに通う場合よりも内容が充実していることが多いです。
内装業界でCADオペレーターとして働くための必要条件とは
業界で働く場合には、CADに関する高度な操作技術や知識を持っていることは、必ずしも必要な条件ではありません。しかし、基本的な操作ができることは必須で、3次元のモデリングなどはできるようになっておいたほうが良いと言えます。
内装やインテリアコーディネーターの仕事を目指す場合には、何よりもまず建築やインテリアに関する基礎知識を身に付けていることが欠かせません。CADについては独学で学ぶことも可能ですが、知識に関しては、実務経験が物を言うため、インテリアデザイナーを養成する専門学校などに通っておくことも1つの手です。
ただし、専任の仕事であれば、そこまで詳しい知識は入社時に求められることはありません。具体的には、インテリアデザイナーやインテリアコーディネーターから提示された図面を元に、それをトレースする能力があれば仕事をしていける場合があります。こちらも建築系のCAD業務をする場合と同様に、最初の図面は紙に書き起こされることが多く、それをPC上でトレースしていくことが主な仕事内容となります。
建築系と異なっているのは、基礎知識だけでなく、内装・インテリア業界では、室内の細かい部分までデザインを行うことになりますから、建物の構造だけでなく、そこにどんな物を収めるのか、といったことまで分かっていなくてはなりません。
実際のデザインイメージを提示するためにプレゼン資料を作成する業務も多くあります。そのため、業界で活躍したい場合は、Illustrator、Photoshopそういったソフトを扱える技術も必要と言えます。
なお、内装やインテリアデザインをより深く知るために、インテリアコーディネーターの資格取得を目指すのも良いかもしれません。
インテリアコーディネーター資格というのは、インテリア産業協会が実施している試験に合格することで取得できる、民間資格の一つとなっています。この試験に合格するためには、内装や家具、ファブリック、照明器具、住宅設備といった幅広い商品の知識が必要になってきます。
内装業界のCADオペレーターの業務内容
求人されている仕事の多くは、設計士やデザイナーの指示のもと、図面を書き起こす仕事です。中には、内装やインテリアコーディネーターとしての業務を兼任することもありますが、この場合には操作スキルだけで採用してもらうことは難しいと言えます。
デザイナーや施工管理技士、建築士の指示を受けて、デザイン図面を作図したり、デザインイメージを具体化するためにプレゼンテーション用の3Dパースの作成などを任されるケースが多いです。
またCADオペレーターとしての仕事と事務の仕事とを兼務する場合もあります。このように、業務内容は会社によってさまざまだと言うことができます。
もちろん、作図に特化した求人もありますから、専門的に仕事をしたいという場合には、こうした職場を選ぶようにすることをおすすめします。求人サイトや派遣会社などでは、業務に関する詳しい内容まで説明がされていますから、求職時にはこうした情報をよく確かめることが大事です。
内装業界のCADオペレーターに関する資格はある?
働く場合、仕事をするために必要な資格というのはとくにありません。求められるのは、操作のスキルや豊富な知識であり、即戦力としての人材が求められていると言って良いです。
ただし、基本操作や知識を学ぶ上で、CADや内装関連の資格を取得することは、勉強する際のモチベーションになったりなど良いことだと言えます。
AutoCADユーザーオートデスク認定資格プログラム
こちらは、AutoCADを販売しているオートデスク社が実施している資格です。AutoCADは、内装系をはじめ、幅広い分野で活用されているソフトであり、基本的スキルを認定するプログラムとなっています。
Vectorworks操作技能認定試験
こちらはA&A株式会社が主催している資格です。Vectorworksは3次元に強いソフトであるため、業務内容に3Dパースの作成などが含まれている場合には役に立つものとなります。
インテリアコーディネーター資格試験
インテリアコーディネーターの誕生や歴史をはじめ、環境と設備、インテリアに関連する法律などインテリアのすべてにおける知識を問われる試験となっています。実施しているのは、協会団体のインテリア産業協会です。
建築士
大規模な改修などをする場合は、資格が必要になってきます。建築士には一級建築士、二級建築士があり、どちらも国家資格です。一級は学歴も重要になりますが、二級は実務経験だけでも受験することができます。
その他にも様々な資格が…
その他にも、インテリアプランナー、インテリアデザイナー、キッチンスペシャリストなど業界にはさまざま存在します。取得しておくことで業務もスムーズに進められるようになるので、内装CADオペレーターとして長く働き、スキルアップやキャリアアップを考えているのであれば挑戦してみてはいかがでしょうか。
内装業界のCADオペレーターの年収とは
気になる年収はおよそ300万円~400万円くらいになります。中には時給制になっているところもあり、この場合は時給1,300円~1,600円ほどとなっています。もちろん、業務内容や求人を行っている会社によって、その額は大きく変わってくるので注意が必要です。
CADオペレーターとして仕事をしている人の中には、一度結婚や出産などで仕事を辞めたことがあるという人も多いです。もちろん、生え抜きで活躍している人も多いですが、実力があれば、ある程度のブランクがあっても再就職することは可能です。
先にも書きましたが、CADオペレーターの仕事のみだったり、そのほかの業務を兼任したりすることもあるので、求人内容をよくチェックして、自分が応募できる内容になっているかどうかを確かめることが大切です。
ちなみに、インテリアコーディネーターとしての年収はおよそ300万円~600万円くらいであり、前者と比較してそれほど高くはありません。
内装業界でCADオペレーターとして働くことが向いているひと
基本的に仕事は、パソコンに向かって長時間同じ作業を続ける仕事です。ですから、こうした作業が気にならない、一つのことに集中して仕事をしたい、と考えている人にとっては向いている仕事だと言えます。
なお、内装CADオペレーターの仕事は建築・土木系の仕事とある程度の共通点があり、そうした仕事の経験者であれば就職・転職もしやすいです。
一般的にCADオペレーターとしての素質は下記のものが挙げられます。
・長時間コツコツと仕事に打ち込めること
・モノづくりが好きであること
・設計者の意図をくみ取ることができること
・時間管理ができること
・最後まで責任をもって仕事ができること
そのほか、内装系は、次のような資質を持っている人も向いていると言えます。
・インテリアに興味がある
・美的センスのある人、センスを磨き続けられる人
・トレンドに敏感である
基本的には、まじめでコツコツと仕事ができ、モノ作りをすることが好きである人が向いています。ただし、スキルアップするに従って新しいソフトの操作を任せられたり、他の業務が入ってくる場合もあります。そのため、内装CADオペレーターの仕事を続けていく上では、コミュニケーション能力や向上心、そしてそれなりの努力が必要となってきます。