CADオペレーターの仕事に年齢は関係ある?年齢別の平均年収や転職事情とは

これからCADオペレーターを目指す方はもちろん、すでに働いてる方もいつまで仕事ができるのかと不安に思う方もいることでしょう。ここでは、CADオペレーターと年齢の関係をはじめ、年齢別の平均年収などについて解説していきます。

CADオペレーターと年齢の関係

仕事とは

主な仕事は、パソコン上にインストールされた設計支援ソフトを操作し、デジタル化された設計図を作成することです。パソコン上の設計支援ソフトの事を、「Computer Aided Design」の頭文字をとり、CAD(キャド)と呼びます。

現在、建築土木業界をはじめとし、機械業界や自動車業界、電化製品まで、多くの設計業界でCADが使われていますが、元々は1960年頃に飛行機を設計するために作られたものです。そのことから、土木のような大規模な構造物から、精密機械のように細かいものまで、様々な設計に使うことができます。

近年はアパレル関係でも取り入れられており、多様な分野でCADが利用されています。

仕事内容

パソコン上で、各種ソフト図面を使用し、図面を作成するのが仕事ですが、近年は設計の中心となっている設計士が、自分でソフトを使いこなすことができるケースが多いので、設計者がCADで大まかに作成した図面に、オブジェクトを追加したり、変更を加えたりするかたちで作図するというワークフローをとっている場合も多いようです。

建築系の作図業務は、打ち合わせを重ねるうちに図面が変更されることも多く、そのたびに図面の修正作業が発生します。この図面の修正も、仕事です。いつでも細かい修正作業に対応できるようにしておくことも求められます。

また、図面データの変換作業や管理、複製も仕事です。

設計では、数多くの関係会社と協力してすすめていくため、自社のソフトと関係会社のソフトが異なるケースもあります。他者が確認できる図面へと変換することも仕事のひとつであり、作成した図面データの管理や必要に応じて複製を作成することも仕事内容に含まれます。

仕事に年齢は関係ない

簡単に言えば、CADを操作する技術や経験があれば年齢関係なく仕事をすることができる職業と言えます。

ただし、実務経験が重要視されるため、できるだけ早い段階でキャリアをスタートさせることが重要です。

また、就職においては、企業側としてはやはり物事に柔軟に対応することができ、技術を習得するスピードが早いと考えられる、若い社員を採用したいというのが本音ということもあり、やはり早い時期、年齢からのスタートが求められていると言えます。

前述した通り、スキルや経験があれば年齢関係なく働ける職種ですので、たとえば40代以降でも活躍したい、転職したいと考えても十分に可能性はあります。

このように、技術職において企業側は、年齢よりもスキルの方を気にする傾向にあります。CADオペレーターであれば、図面を正確に描くことができる他に、各業界に特化した高い知識を得ていたり、ライセンスを取得、経験を持っていたりする場合、年齢に関係なく道を歩いて行けることでしょう。

転職における適した時期は?

転職するのに適した時期についてですが、求人情報を見てみると、一年中募集が途切れることはまずありません。数多くの業界で必要とされるCADオペレーターは、他の職業と比較しても非常に需要の高い職業です。

一般的に中途採用の市場は、新年度となる4月と、上半期と下半期の分かれ目となる9月10月に求人が多くなる傾向が見られます。一般的な求人と同時期に求人が活発になると予想できるでしょう。

CADオペレーターは派遣社員としての求人が比較的多いです。派遣社員は3ヶ月単位で契約することが一般的なため、契約更新時期の4月、7月、10月、1月に求人が増える傾向にあります。その時期を狙って、事前に準備をしながら転職活動を進めていくことをおすすめします。

正社員として転職したい場合は、状況によっても異なりますが、転職を希望する月の3ヶ月前頃から転職活動を始めると良いでしょう。

なお、建設業界においては、オリンピックや万博など、国をあげての大きなイベントがあると、建設ラッシュを背景に求人も通常より多く見込まれます。そういった時期も転職の狙い目です。

年齢別にみるCADオペレーターの平均年収は?

ここでは、年齢別の平均年収について紹介します。

■20歳〜25歳……260万円程度

■26歳〜30歳……310万円程度

■30代……313万円程度

■40代以降……330万円程度

全世代の平均年収としては、300万円程度となっています。

20代の前半はキャリアをスタートさせたすぐの年収であるため、スキルが未熟であることからやや低い傾向にあります。しかし、上記の年齢別平均年収データからもわかるように、年齢が上がるとともに成熟するにしたがって、年収もアップしていることが分かります。

その一方で、30歳以降の年収の差は緩やかな傾向にあります。その理由としては、多くの人材が各業界の設計士やデザイナーに転向していることが挙げられます。

年齢によって経験の差があるため、それに伴い年収も大きく変わってきますが、経験を積み上げ、各業界の専門的な知識を取り入れることで、一定の収入を保ちながら働き続けることが可能と言える職業です。

CADオペレーターに年齢は関係ないが需要や将来性はあるのか

現状

年齢に関係なく働くことができ、技術やスキルが評価される職業であるうえ、多様な働き方を選択することができるため、特に女性に人気の高い職業とされています。

需要は、前述したとおり建築土木や機械や電気、服飾業界など、様々な業界に普及しているため、需要が高い職種のひとつとして挙げられています。

一方で、ものづくりの業界において、CADは欠くことのできない技術になっていますが、パソコンの低価格化や、無料で高性能の2DCADソフトを利用することができる現在の状況から、図面を描けるというだけでは大きな武器とは言えなくなってきています。そのため、最新の技術や専門性の高い知識をアップデートし続けることが重要です。

需要はいつまで続くのか

様々な分野で必要とされる職業なので、高いスキルを持っているCADオペレーターであれば常に需要はあるでしょう。
そのため、常に求められる人材であるには、技術に関心をもって新しいものを習得しようとする気持ちが大切です。2DCADだけでなく、3DCADを習得するなど、さらにはBIMや専門性の高い知識を習得するなど、自分を磨く努力をつづけることが必要と言えるでしょう。

今後の見通し

従来のように図面を描くだけの求人は、少なくなっていくことが予想されます。

前述した通り、現在では設計士がCADを使って図面を作成することも多くなってきています。そのため、これからの時代は、図面を描けること以外に、設計の知識を持っている、IllustratorやPhotoshopが扱えるなど、プラスアルファの能力が求められていると言えるでしょう。

今後も活躍できるCADオペレーターを目指すためには

図面を描くだけの人材の需要は少なくなることが予想されるうえ、テクノロジーの進化で人工知能AIなどが実用化されると、多くの仕事が必要なくなるのではと不安に思う方もいらっしゃるでしょう。

AIが実際に実用化されても、人間にしばらくは敵わないであろうとされている能力が、コミュニケーションの能力です。合理的な判断をすることはできても、表情から細かい感情を表情から読み取ったりすることは、人間の能力に敵うものではありません。

作図の能力だけでは、AIに駆逐されてしまう可能性が高いですが、コミュニケーションのスキルを磨いておけば、新しい時代にもきっと必要とされることでしょう。

また、近年、建築業界ではBIMが普及してきています。BIMはソフトが高価なことや、高いスペックのパソコンを必要とすることから、習得する場が限られており、オペレーターの数が不足しています。

したがって、BIMを理解しているCADオペレーターは、需要が高いでしょう。

たくさんの技術を習得し、スキルアップを図ることで、年齢を重ねても長く活躍することが期待できます。

年齢を重ねてもCADオペレーターとして活躍するために必要なこと

キャリアアップ

CADオペレーターのような技術系の職業では、年齢も重要なポイントではありますが、どちらかというとスキルや経験を持っているかで判断される傾向にあります。

図面を描けるだけでなく、年齢に伴ったスキルはもちろん、住宅建築であれば建物の知識や、独自の数値の呼び方や業界用語への慣れも必要です。

インテリア業界であれば、日頃から家具への興味や、色彩への関心も必要となるでしょう。

専門的な知識やセンスを持った人が作図するのと、図面を描くことしかできない人が作図するのとでは、当然完成品にも差が出てきます。

デザイン性の強い意匠設計色の強い図面を作成しているのであれば、adobe製品を使用することが多いので、PhotoshopやIllustratorを使えるようにしておくと役に立つかもしれません。

具体的にはどんな資格があるのか

各業界に特化した専門性の高い知識が必要であることは先に述べましたが、具体的にどのような知識を身につければよいかわからないという人もいることでしょう。

ここでは、CADオペレーターとして働く人が取得している資格についてご紹介します。一口に建築業界に関連するものといっても多数存在していますので、ぜひ参考にしてみてください。

■建築分野

・2級建築士

年収をアップさせたり、仕事の幅を広げるという意味でも仕事をしつつ目指す方が多いのが「2級建築士」です。2級建築士を取得するためには、短大や大学の指定学科を卒業するか、7年の実務経験が必要です。

この実務経験ですが、一般的な作図業務をメインとした業務では、実務経験として認定されないので、いずれは建築士になりたいと考えている方は、早い段階で上司に相談する必要があります。

2級建築士を取得すると、一般住宅や家屋などの規模の建物の設計や監理をすることができます。

試験の内容は一次試験が学科で、二次試験は実技試験となっています。二次試験の設計製図試験は、手描きでの製図になるので、学校に通い、手描き製図の基礎から学び、取得する方が殆どのようです。

2級建築士の取得は、基礎を学ぶという観点からも価値のあるものです。たとえ2級建築士として働くことが目標でなくとも、専門性の高い確固たる立場を確立することができるでしょう。

・1級建築士

2級建築士の上位になるのが1級建築士で、数ある国家資格の中でも特にネームバリューがあります。

有名な耐震偽装の事件後に、1級建築士の上位として、高い設備と構造の専門性を持った建築士である「設備設計1級建築士」と、「構造設計1級建築士」という資格が新設されました。

このことにより、1級建築士だけで、日本中に建設されるすべての建物のすべての設計をするとは言えなくなりましたが、業界最高峰クラスであることに違いはありません。

2級と同じように、一次試験は学科、二次試験は製図で試験がおこなわれます。学科試験は「計画」「環境設備」「施工」「法規」「構造」の5科目となっています。

二次試験では、2,000m2〜5,000m2クラスを実際に設計することになります。

仕事をしながら取得するのは大変な努力が必要ですが、今後数十年、数百年残るかもしれない建造物を設計できたり、建造物が出来上がった時のこの上ない感動を味わったりすることができるなど、大きな魅力のひとつです。

後々、建設業界で設計士として働いていきたいと考えているならば、目指すべきでしょう。

・福祉住環境コーディネーター

高齢化がすすむ日本において、これから益々需要が高まることが予想されるのが福祉住環境コーディネーターです。

福祉樹環境コーディネーターを取得すると、介護保険を利用して住宅改修を行う際に必要になる書類、「住宅改修が必要な理由書」を作成することができます。

ケアマネジャーなどの専門家と連携し、住宅に手すりやスロープを設置したりする際の補助金や助成金を申請するのが、福祉住環境コーディネーターの仕事です。言わば、建築業界と介護福祉業界の架け橋となるような役割と言えるでしょう。

■インテリア分野

・インテリアコーディネーター

インテリアを購入する方へ、インテリアに関する専門家の立場から、商品を選択するためのアドバイスをおこないます。

・インテリアプランナー

インテリアの配置などから、インテリア空間をトータル的にコーディネートする能力を持っていることを証明するライセンスです。

・インテリア設計士

日本インテリア設計士協会が認定する民間のライセンスです。インテリア設計士は1級と2級の等級にわかれており、建築士やインテリアプランナーの資格を持っていると、1級から受験することができます。

・キッチンスペシャリスト

住宅を新築する際に、女性が特に気にするのがキッチン周りですが、キッチンスペシャリストはキッチンに特化したスペシャリストです。快適で使いやすいキッチンを専門家の立場から提案します。

・照明コンサルタント

住宅や商業店舗などの照明計画にアドバイスするのが照明コンサルタントです。顧客の使用環境から最適な照明計画を提案します。

・カラーコーディネーター

カラーコーディネーターは、色彩に関するスペシャリストで、色が人間の心理に及ぼす影響などについて知識を有しています。デザイナーを目指す方が持っていたい知識をつけることができます。

CADオペレーターに年齢は関係ない!続ける限り得られるやりがいや魅力

スキルが重視される職種

これまで述べてきた通り、CADオペレーターはスキルで判断される仕事なので、学歴や年齢、性別はあまり関係ありません。実務の中でスキルを磨き、実績を残すとそれだけ評価が高まり、それが給与にも反映されることになります。

前章で紹介した業界に特化した資格を目指すことで、ただ単に図面を描くだけの仕事をこなすより、より専門性の高い知識や方向から物事を見ることができ、スキルを高めることができるでしょう。

また、設計士やデザイナーの指示を正確に聞き取り、それを図面に反映させる技術が求められる仕事です。専門性の高い知識を習得することはもちろん、転職や就職をする際には、スキルだけでなくコミュニケーションのスキルも磨いておくと、ワンランク上の技術者だと判断してもらえることでしょう。

活躍できる場所が多い

建築、土木、機械、電気、自動車、飛行機、造船、インテリア、アパレルなど幅広い業界で必要とされる職業です。

近年は3DCADの普及により、玩具や石材、宝飾品など、更に利用される場所が広がっています。技術は、アニメーションなどエンターテイメントの世界で使われることもあり、これからもCADが利用される場所は益々広がることが予想できます。

このように幅広い業界から自分が興味を持った業界を選択することができる職業であることは、ひとつの魅力であると言えます。

仕事をしていく上で、誰しも息詰まることはあるかもしれませんが、自分が興味を持つ業界で働けることで、知識や技術を習得したいという想い、壁を乗り越えられる力も湧きやすいのではないでしょうか。

モノづくりに携われる喜び

どの業界でも、ものづくりに携わることになるので、最終的に自分の描いた図面が形になり、日々の仕事の中でクリエイティブな喜びを得られやすいという良さがあります。

特に建築設計などの分野では、パソコンの画面の中にあったものが、後々まで残る大きな構造物として物体化するので、大きな喜びはもちろん、それが生きがいになっていくこともあるようです。

また、自分が制作に携わったものが、大勢の人々の役に立っていることで、自分の仕事が世の中に役にたっていると実感することができ、大きな仕事のやりがいにつながると言えるでしょう。

さまざまな雇用形態がある

CADオペレーターの求人を検索してみると、「正社員」「派遣社員」「契約社員」「アルバイト・パート」「業務委託」「在宅業務」など多様な形態で募集していることが確認できます。

結婚や出産や育児といったように、ライフステージによって働くことができる時間が変化する女性にとって、働きやすい職種であると言えます。もちろん、男性も働き方に希望がある場合は、働き方を選択しやすい環境下にあります。

特に派遣社員としての募集は多く、派遣社員としての働き方を選ぶことで、決まった時間だけ働きたい、残業はできるだけ避けたい、子供の帰宅に合わせて仕事をしたいなど希望に沿った働き方ができるでしょう。

年齢関係なく働けるうえ、スキルや経験が評価される職場であること、一人ひとりのライフスタイルや生活環境に合わせて働くことができるなど、大きな魅力をもった仕事です。

まとめ

今回はCADオペレーターの年齢や転職事情について紹介しましたが、年齢に伴った経験値は求められますが、一定年齢以上の人であっても活躍し続けることができる仕事であるということが理解していただけたのではないでしょうか。

しかし、記事の中でも触れたように、自分の知識を常にアップデートし、新しい技術に興味を持ち、取り入れようとする姿勢がこれからは求められています。

CADが普及しはじめた当初は、手描きで図面を描く設計者が働きざかりでしたが、現在は世代交代がすすみ、パソコンに強い世代が設計業界の中心で活躍するようになりました。

現在の設計者は自分でCADを操作できるのが普通で、2DCADの操作技能は設計に携わる人は皆、持っていて当たり前のものになっています。そのような事情から、図面を描くだけの人材の需要は今後少なくなっていくかもしれません。

その中でも活躍して働き続けていくためには、設計の知識や、業界で使われる資格の取得など、llustratorやPhotoshopが使えるなど、図面が描けること以上の何かが必要になってきています。

末永く業界から必要とされるため、日々進化する技術とともに自身をアップデートしながら、他には代えられない知識や経験を持つCADオペレーターを目指していきましょう。

記事の中でも紹介したように、CADオペレーターの仕事は、雇用の形態に拘らなければ、年齢に関係なく一定の賃金を維持したままライフスタイルに合わせ自由に働ける仕事です。

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