無料3DCADソフト “Fusion360”とは?機能や特徴を徹底
2019.10.10
- CADソフト解説
記事ライター:キャドテク編集部
一般的に、3DCADソフトと聞くと、高価で操作も難しく、簡単には手を出せないイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなイメージを払拭してくれる3DCAD「Fusion360」をご紹介します。Fusion360の基本的な部分から、無料登録の方法など、気になる部分を徹底的に解説します。
目次
Fusion360とはどのようなCADソフト?
Fusion360とは
Fusion360(フュージョン360)は、AutoCADを開発提供していることで有名な、アメリカのAutodesk社が提供している3DCADソフトです。日本では「フュージョンスリーシックスティー」と呼ばれます。中には、「フュージョンさんろくまる」と呼ぶ人もいます。
Fusion360の価格は?
Fusion360には、体験版、学生やスタートアップ企業のための無料ライセンスも用意されているほか、趣味で使う愛好家や個人の方であれば30日の無料期間を過ぎても、実質無料で使い続けることも可能です。
ただし商用利用する場合は、サブスクリプション契約をしなければなりません。以下のコースを購入すると全ての機能を継続的に使用することが可能です。
・体験版
価格 無料
条件 評価用に30日間の無償アクセス
・スタートアップ企業
価格 無料
条件 年間売上が10ドル未満の企業と愛好家
・学生
価格 無料
条件 学生と教育機関
・Fusion360
価格 1ヶ月:7,560円、1年間:60,480円、3年間:163,080円
条件 なし
Fusion360の特徴とは
Fusion360の大きな特徴は、クラウドをベースとして動くという点です。したがって、インターネットにアクセスできるパソコンとブラウザがあれば、いつでもFusion360上で作業する事ができます。
しかし、クラウド上で動くといっても、パソコンにインストールが必要ないという訳ではありません。Fusion360を使う為には、提供元のAutodesk社の公式サイトからダウンロードし、ソフトを自分のパソコンにインストールする必要があります。
一度インストールすると、そのパソコン上で作成したFusion360のデータは、自動でネット上のクラウドで管理されるシステムになっています。
クラウドを介して操作できる事のメリットは、主に2つです。
・アカウントを作成しておけば、どこでもデータにアクセスできる
・他に共有したい相手がいる場合、相手にデータがある場所のURLさえ伝えれば、簡単にデータにアクセスできる
ひとつの事業を複数の人で進める場合などでも、Fusion360は有効な3DCADソフトであると言えるでしょう。
Fusion360の動作環境とは
動作環境
・OS
Apple® macOS™ Mojave v10.14;Apple® macOS™ High Sierra v10.13; Apple® macOS™ Sierra v10.12
Microsoft® Windows® 7 SP1、Windows 8.1、Windows 10 (64 ビット版のみ)
・CPU
64 ビット プロセッサ(32 ビットは対象外)
・メモリ
33GB の RAM (4GB 以上を推奨)
・グラフィックス カード
512MB 以上の GDDR RAM (Intel GMA X3100 を搭載しているカードを除く)
・HDD
2.5GB
・ネット回線
ADSL以上のインターネット回線
Fusion360はMacやタブレットでも使用可能
Fusion360は、WindowsとMacの両方に対応しており、両OSで全く同じ機能を使うことができます。
また、Fusion360は、マルチデバイスにも対応しているため、iPad版のアプリをインストールしておけば、Fusion360で作成した3Dモデルのビューワーとして使用する事ができます。
iPadは、最新版のOSでマウス操作にも対応しており、Fusion360で扱う細かなパーツを選択するのにも適しているようです。
iPadのほか、androidタブレットにも対応しています。
Fusion360のダウンロード方法
Fusion360のダウンロード方法について詳しく解説していきます。
1.Fusion360の公式ページにアクセスし、「無償体験版ダウンロード」を選択しましょう。
2.つぎの画面で、名前、メールアドレス、国籍などをすべて入力し、下の「無償体験版をダウンロード」をクリックします。
3.これでダウンロードは完了です。その後、インストールをして、利用できるようになります。
Fusion360の機能とできること
Fusion360の機能
まずは、機能をご紹介します。
・モデリング
3Dの立体モデルを作成。
・アセンブリ
3Dモデルを組み合わせたパーツを作成。
・レンダリング
作成した3Dモデルに、テクスチャや色を貼り付け陰影を付けリアルに見せる。
・アニメーション
作成した3Dモデルを画面上で動かす。
・シミュレーション
3Dモデルを使い、現実に起こりそうな状況を再現する。
・CAM
3Dデータを元にして、機械を操作し加工製造するプログラムを作成する。
・作図
3Dデータから2Dデータを作成。
・追跡・コメント・共有
チームで作業をすすめる場合など、複数の人とデータを共有。
・データ出力
3Dプリンターから立体モデルを製造。
Fusion360でできること~3D編~
Fusion360を使えば、ネジやスパナやボルトのような部品や工業製品、日常的に使う食器やフォークやスプーン、時計やテレビやパソコンマウスなどの電化製品まで、あらゆる分野のデザインを3Dモデルとして表現する事ができます。
手に取れるような製品のデザインはもちろん、インテリアのような大きな物の造形も、思いのままに可視化することが可能です。
ほかにも、アニメのキャラクターなどのように、アウトラインが曲がりくねっているモデルを作成する場合も、Fusion360の機能を使えば簡単に表現することができます。
また、Fusion360には独自のモデリング機能「スカルプト」が実装されています。
この「スカルプト」機能は、画面上で粘土細工をするような感覚で、簡単にデザインを生み出す事ができる機能です。
直感的な操作が可能なので、一度慣れてしまえば簡単に複雑なデザインを表現する事ができます。
断面が曲がりくねったような複雑な形状の表現は、従来のCADシステムでは表現が困難でしたが、このスカルプト機能があれば、容易に作り出す事ができるのです。
このように、Fusion360は従来のCADではできなかった表現を、容易にできるような新しい機能が取り入れられています。
Fusion360でできること~2D編~
Fusion360は3DCADですが、ドラフト機能を使う事で、2Dの図面を作成することも可能です。
3Dデータから2Dデータを作成することに難しい印象を持つ方も多いですが、Fusion360であれば難しいことはありません。
その方法は簡単で、3Dモデルの中の2D図面が欲しい場所でクリックをし、「デザインから図面を新規作成」を選択するだけです。自動で作成された2D図面の、必要な場所に自分で寸法や文字を配置すれば、2D図面の完成となります。
これまでの設計者は、はじめに2D図面を作成し、それを元に3Dモデルを作成するというワークフローを踏んでいましたが、Fusion360は、従来とは逆のワークフローで作業している訳です。
また、Fusion360には、断面図と平面詳細図を自動で作成する機能も標準で搭載されています。
平面図を作成するうえで必要な最低限の機能(用紙設定や線分)は、全て付いているので、一般的な図面であれば、他の2D専用CADなどを使わずとも、Fusion360だけで作成する事ができます。
部分断面図を作成する機能こそついていませんが、Fusion360のような3DCADを利用して2D図面を作成する場合のメリットとして、デザインの変更があった場合でも、3Dモデルに修正を加えると、全ての2D図面に反映され、修正の手間が省けるとともに、図面同士の整合性がとれないなどの、設計の現場でありがちなヒューマンエラーを、未然に防げます。
Fusion360をより快適に利用するための方法とは
3D画面に適した解像度のモニターを使用する
昨今、4Kや8Kが話題となっていまが、これは画面の解像度を表しています。4KはフルHD画面の4倍、8KはフルHDの約16倍の解像度があることを示しています。
液晶モニターは、この解像度が大きいほど、像を映し出すための素粒子が細かくなっていき、高精細で綺麗な映像を映し出すことができるのです。
パソコン上で綺麗で鮮明な画面を映すには、モニターの解像度のほかに、グラフィック性能が関係します。このグラフィック性能をつかさどるパソコンのパーツがグラフィックボードです。
グラフィックボードのスペックが低い場合、画面が荒れてしまいますが、ハイスペックなグラフィックボードを使えば、Fusion360の動作も滑らかになります。
デスクトップ型のパソコンであれば、グラフィックボードだけをハイスペックなものに交換したり、増設したりすることも良いでしょう。
ノート型の場合は、交換できない仕様になっている場合もあるので、注意してください。
このように、Fusion360を快適に利用できるパソコンの購入をこれから考えている方は、モニターの解像度とグラフィックボードに気を配って製品を選ぶと、Fusion360の良い点を十分に発揮させる事ができるでしょう。
動作が重い時の対応を知っておこう
Fusion360で扱うことになる3Dデータは、2Dデータと比較すると、非常に容量が大きく、パソコンにも大きな負荷がかかっています。
容量の大きいデータで長時間作業を続けていると、どうしてもパソコンの反応が鈍くなりがちです。
旧型のパソコンや、低スペックパソコンを使用してFusion360を利用している場合、頻繁にパソコンがフリーズする可能性もあります。
作業をストップさせないためにも、動作が重い時の対応を知っておきましょう。
1. Fusion360の画面右上にある「?」のマーク(ヘルプ)をクリックします。
2.「サポートの診断」という項目にマウスを持っていき、「グラフィックスの診断」をクリックします。
3.グラフィックスの診断のウィンドウが現れたら、一番下にある「最適なパフォーマンスを得るためにすべてのこうかを制限」の横にあるチェックボックスに、チェックを入れ、ウィンドウの右下の「閉じる」をクリックし、終了します。
この操作をするだけで、劇的に動作環境が改善されるはずです。
しかし、この操作はグラフィックの性能を犠牲にして動作を早くしているため、画面のグラフィックが多少荒くなる可能性があるため注意が必要です。
仮に、グラフィックの性能を優先したい場合は、同じような手順でチェックボックスを外して作業してください。
AutoCADとFusion360の違いとは
一口にCADソフトと言っても、さまざまな種類のソフトが存在しますが、CADソフトと言えば、シェア率の高いAutoCADを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
AutoCADも、Fusion360を提供しているAutodesk社から発売されているCADソフトです。
では、同じAutodesk社から提供されているAutoCADとFusion360にはどのような違いがあるのでしょうか。比較してみたいと思います。
対象としている業界
2つのCADソフトが対象としている業界から、比較していきましょう。
Fusion360は、主にインダストリアルデザイン(機械工学)の業界に向けて提供されているCADソフトです。
それに対してAutoCADは、業界ごとに固有のツールを用意し、さまざまな業界に適合するようにソフトを提供していまます。
例えば、AutoCAD Architecturalでは、建築設計業界に向けたツールを提供しています。Electricalでは電気業界に特化したツール、Mechanicalでは機械設計に特化したツール、ほかにも、工場建築やプラント設計に対応したツール、地図制作用のツールなど、各設計業界へ向け、業界ごとに使いやすようにカスタムして使えるシステムになっています。
対象としている業界から考えられるのは、建築設計やプラント設計、電気設計、地図の編集といった業界では、Fusion360よりもAutoCADを選択したほうが良いかもしれません。
モデリングの方法
ここでは、モデリングの方法から、2つのCADソフトを比較してみます。
Fusion360では、フリーフォームモデルを採用しています。
フリーフォームモデルは、曲面を多用したような形状のモデルをデザインする場合に向いている方法です。Fusion360では、スカルプト機能を使えるため、不整形なデザインにも対応しやすいと言えるでしょう。
一方のAutoCADでは、ジオメトリ駆動モデルを採用しています。
ジオメトリとは「幾何学」といった意味を持っています。AutoCADは、コマンドラインに数値を入力して直線を引いたり、コマンド入力によって規則的な動作指示を与えたりして設計していくCADです。
測量の座標値を入力し、CADで道路などを表現したりするのには、AutoCADが向いていると言えるでしょう。
以上の事から考えると、同じ機械設計でも、曲面を多く使ったようなフレキシブルなデザインをする場合は、AutoCADよりもFusion360を使ったほうが向いていると言えます。
作業環境
Fusion360は、クラウドを介して利用する方法を採用しています。クラウドを利用したソフトの主な利点は、下記の3つが挙げられます。
・ネットワークに接続したブラウザを利用できるパソコンがあれば、どこでも作業データにアクセスできる
・パソコンだけではなく、さまざまなデバイスを使って作業できる
・データのやりとりが容易で、チームでデータをシェアしやすい
しかし、Fusion360はローカルには対応しておらず、インターネット環境がない場所では作業ができないというデメリットもあります。
対するAutoCADは、ローカルでも使う事ができるソフトです。最近は機能を拡張させており、AutoCADもマルチデバイスに対応しており、ネットワークを介してファイルをチームとシェアしたり、スマートフォンやタブレット端末からデータにアクセスしたりすることも可能です。
このことから、たとえば出張先などでインターネットにアクセスできない状態で、ノートパソコンから作業したい人は、AutoCADを選択したほうが良さそうです。
インターネットの接続環境がいつも確保でき、チームでプロジェクトをすすめる場合はFusion360が良いでしょう。
全般的に比較してみる
ここまで、さまざまな面から比較してみましたが、最後に全般的に2つのCADソフトを比較してみましょう。
Fusion360の優れている点として、3DCADデータから2D図面を作成できるという点があげられます。3Dデータから形状をデザインする場合に優れたCADソフトと言えます。
また、Fusion360ならではの「シミュレーション」機能があります。設計したマシンの実際の動きを、Fusion360の中で、シミュレートする事ができるので、完成をイメージしやすいというのは、Fusion360の大きな魅力です。
一方のAutoCADは、住宅のプラン図や、電気図など従来型の2D図面を作成する場合、直線を多く使う寸法入力で形を作っていく設計では、こちらを選択したほうが良さそうです。
適材適所という言葉があるように、Fusion360やAutoCADなど、CADソフトを選ぶ際は、利用用途に合ったものを選択しましょう。
Fusion360はどんな人に向いている?
Fusion360はどんな人が利用するのに向いているのでしょうか。それぞれのケース別に見ていきましょう。
個人で利用する場合
3DCADは、非常に高価格なものも多く、個人で利用するには手を出しづらいと考える人も多いです。
しかし、先に説明したようにFusion360は学生と教育関係者、スタートアップ企業や愛好家の方などは、無料で利用する事ができます。
気軽な気持ちで、3DCADを試してみたいという方が、気軽に試せる環境がある訳です。
これまでハードルが高いと3DCADを諦めていた学生や一般人も、Fusion360を使えば、気軽にオリジナルの日用品をデザインしたり、Fusion360の中で作ったものをシミュレートしたりすることができます。
オリジナルで作った2Dキャラクターを、3D化してみたいと興味を持っている方にも、向いている3DCADソフトです。3D化したキャラクターを、画面の中で動かしてみたいといった希望も、気軽に叶える事ができます。
また、Fusion360の中で、モデリングしたキャラクターや日用品を、3Dプリンターを使って具現化し、実際に手にとってみたいという希望を持っている方におすすめと言えます。
小規模企業などで利用する場合
Fusion360は、1ヶ月~の利用プランも用意されているため、これから3DCADを使ってものづくりを始めたいと考えている小規模企業でも、導入しやすいソフトだと言えるでしょう。
無料で使ってみて、もし合わないようであれば、無駄な経費を払い続ける必要もないので、大きなコスト上のリスクもありません。
たとえ、数ヶ月程度利用したとしても、Fusion360は、他のCADソフトに比べて比較的安い価格が設定されているので、大きな出費を避けることができます。
安い価格設定であっても、最高レベルの3D機能を使う事ができるので、使いこなせば、高度なデザインを表現できるでしょう。
Fusion360はクラウドを介して、チームとデータをシェアする事もできるので、チーム内のコミュニケーションや情報共有を円滑におこなう為のツールとしても役立つソフトです。
設計業界では、従来型の2DCADで設計をしている小規模企業も多いようですが、設計が画一的になりやすく、2Dでのものづくりに限界を感じている小規模企業も少なくありません。そんな小規模企業にもFusion360がおすすめです。
法人で利用する場合
法人で利用する場合、家電、家具、生活用品、スポーツ用品、宝飾関係などのコンシューマー製品を扱う企業におすすめです。
これまで、新製品を制作する場合、実際に作ってみるという方法しかありませんでした。
Fusion360を導入すれば、画面の中で、製品が実際に稼働している様子を見ることができますし、3Dプリンターを利用すれば、製品化する前に、製品を手にとってみることも可能です。
食品や化粧品を扱う企業で、パッケージデザインを制作しなければならない場合も、3Dで制作すれば、商品のイメージが湧きやすいでしょう。
中小企業では、製品化するまでに何度も会議を重ね、提案を繰り返す事もあると予想されますが、Fusion360の3Dで制作されたモデルであれば、プレゼンテーションの際に、分かりやすく、より伝わりやすい資料を提示することができます。
その他、工業デザイン系の法人や、部品制作や試作カスタムなどをおこなう製造受託企業にもおすすめできるCADソフトです。
Fusion360にはシミュレーション機能があるので、解析を必要とするような職種はもちろん、幅広い業種におすすめできる、3DCADソフトです。
他にもFusion360は幅広い人におすすめ!
前述したように、Fusion360は幅広いユーザーにおすすめできるCADソフトです。
ものづくりの業界であれば、すでにメインとなるCADやデザインのソフトがあり、新たにFusion360を増やしたいと考えている企業や事業主の方もいると思いますが、そんな方にもFusion360は対応できるCADシステムです。
Fusion360は、他のCADソフトのフォーマットと高い互換性をもっています。
まずAutodesk社の製品であることから、当然AutoCADと高い互換性があります。
AutoCADは、世界でトップシェアを誇っているCADソフトです。そのAutoCADと互換性があることは、多くの企業でFusion360をセカンドCADソフトとして採用する大きな理由にもなっているようです。
Autodesk社の製品だけでなく、ダッソー・システムズ社によって提供されるSOLIDWORKS(ソリッドワークス)や、デザイン業界で圧倒的な利用率を誇る、アドビ社のIllustrator(イラストレーター)との互換性も高いので、これまでより多様な手法を使いものづくりができるほか、社内や関係会社とのデータのやり取りもスムーズにおこなう事ができます。
また、これら互換性のある製品を使い、作品を作った事がある方であれば、Fusion360も比較的スムーズに使い始めることができるでしょう。
立派なデータを作っても、運用面がしっかりしていなければ、仕事上では使いづらくなりがちです。その点、Fusion360は手軽に3Dデータを作れるだけでなく、運用面もしっかりと考えられているので、幅広い業界の方におすすめできるCADソフトなのです。
仕事上で利用することはもちろん、「自分で描いた手書きのデザインをデータにしてみたい」「自分で考えたキャラクターを3Dにしてみたい」など3Dに興味がある方は、ぜひFusion360で実現させてみてはいかがでしょうか。
Fusion360を習得する方法とは
Fusion360は条件さえ満たせば、多くの人が無償で利用できるCADソフトなので、独学で操作を習得しようと考える人も多いです。
ここでは、Fusion360を効率的に学ぶための方法を2つ紹介していきます。
Fusion360の無料公式チュートリアルで習得する
最初に紹介する方法は、Fusion 360の提供元であるAutodesk社が公式で提供しているチュートリアルです。
Fusion 360の基本的な操作方法が動画で分かりやすく解説されています。動画は全部で12本あり、これを全て習得するだけで、かなりスキルアップできるでしょう。
無料公式チュートリアルで紹介されている操作方法は以下になります。
・スケッチ
・モデリング
・インポート
・管理
・アセンブリ
・図面
・シミュレーション
・コラボレーション
・CAM
・スカルプト
・パッチ
・ソリッドワークスからの移行方法
動画の解説は全て英語でおこなわれていますが、すべての動画に字幕が付けられているため、英語が苦手な方でも、問題なく理解できます。
Fusion360の無料公式オンラインセミナーで習得する
2つ目の習得方法は、無料公式オンラインセミナーです。このセミナーも、チュートリアルと同じように、Autodesk社が公式で提供しているものです。
このWebセミナーでは「動画で学ぶ!オンラインセミナー」と題して、Fusion360の基礎から、クリエイティブな現場の未来について知ることができる動画が、10本用意されています。
Fusion360を実際に仕事で使用している、プロのクリエイターが分かりやすく使い方を解説しています。
チュートリアルでは、英語による解説でしたが、こちらの動画に登場するクリエイターの講師の中には、日本人の方もいます。
オンラインレッスンなので、ちょっとした空き時間を使い、好きな場所で勉強できるのも良い点でしょう。
この他にもyoutubeでは、Fusion360の日本向け公式チャンネルを配信しています。
このyoutubeの配信内容は、初心者だけでなく中級者〜上級者向けの内容になっていますので、Fusion360を使い実際にものづくりをしている人が、もうワンステップ上の技術を身に着けたい場合などに、おすすめの内容となっています。
動画は多数アップ、更新されていますので、随時チェックしておきましょう。
動画もプロが制作しただけあって、クオリティーの高いものが多く、わざわざ時間とお金をかけて、有料の講習会に参加する必要は無さそうです。
公式チュートリアルでFusion360と3DCADの基礎を身に着け、その後このオンラインセミナーを視聴してみると良いでしょう。
Fusion360を賢く利用しよう
Fusion360は、インストールしてから30日間は無料で利用できる期間を設けています。また、その後も条件を満たす人が、登録の更新をする事によって無料で使い続ける事ができます。そこで、長く無料で使い続けるための条件や、その方法を詳しくご紹介します。
実質無料で使い続ける事ができる条件
・個人で利用する方、愛好家(商用利用は不可)
・スタートアップ企業(非営利団体または事業売上が100,000ドルに満たない企業)
・学生および教育関係者
以上に該当する方は、登録を更新することで、Fusion360を30日の無料期間終了後も使い続ける事ができます。
30日間の無料期間が終了した後の更新画面が、以前よりも分かりづらくなってしまっているので、Fusion360は無料で使えなくなったのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、一定の手順を踏めば、実質無料でFusion360を使い続けることができます。
上記で紹介した3つの利用条件別に分けて、更新の方法を詳しく解説していきます。
個人での利用を検討している方
個人でFusion360を利用する方が30日の無料期間終了後、再びFusion360を無料で使用する方法は、以下の手順となります。
1.Fusion360をインストールし、30日が経過すると、画面右上にオレンジのアイコンで「期限切れ:購入してください」と表示されます。
2.そのアイコンをクリックすると、Fusion360の使用用途が問われますので、「3Dモデリング」「インダストリアルデザイン」「CAM」「図面」「シミュレーション」「その他」の中から、自分の使用用途を選択します。
3.つぎに出てくる画面で中央に大きく「今すぐ購入」と表示されますが、このボタンをクリックせず、そのアイコンの下に小さく「無償使用の資格があるかどうかをご確認ください」と書かれている箇所の、「資格」の部分をクリックします。
4.クリックすると、使用用途を問われます。「商用目的」「非商用目的」「教育目的」と選ぶ項目があるので、「非商用目的」を選択します。この画面でも、やはり「いますぐ購入」のアイコンがありますが、絶対に押してはいけません。
5.「個人用ライセンス認証」の画面になったら、2つのチェックボックスを確認後にチェックし、「続行」をクリックします。
6.つぎの画面上に緑色のアイコンで「登録を完了」、下にオレンジで「商用利用で今すぐ購入」というアイコンが出てくるので、緑色の「登録を完了」をクリックします。
7.「すべて設定されました」という画面になるので、「Fusion360を使用開始」のアイコンをクリックし、登録は完了です。
8.最後に、最初の画面にもどってみると、右上に表示されていた「期限切れ:購入してください」の表示が消えているはずです。
この手順で登録すると、1年間は無料でFusion360のすべての機能を利用することができます。
しかし、ライセンスの有効期限は1年間なので、1年後にまた同じ「期限切れ:購入してください」のアラートが表示されます。
その際も、今回と同じ手順でライセンスを更新すると、また無料で利用できます。
商用利用を検討している方
商用利用する方の登録更新手順をご紹介します。
1~3の手順は個人使用の場合と同じなので、その後から説明します。
4.つぎの画面が表示されるので、「今すぐ購入」を選択せず、「商用目的」を選択します。
5.その後、スタートアップライセンス認証の画面に移行します。「会社または事業の名称」と「Webサイト」を記入し、2つのチェックボックスにチェックをいれ、「続行」をクリックします。
必要事項を入力し、売上が一定以下の企業である場合は、商用利用であってもスタートアップ企業として1年間は無料でFusion360を利用する事ができます。
この場合も、個人使用と同じように、1年間をすぎると画面の右上に「期限切れ:購入してください」というアラートが表示されますので、再度1~5の更新作業をおこなえば、また無料で1年間Fusion360を利用する事ができるようになります。
学生や教育関係者で利用を検討している場合
学生や教育関係者の方がライセンスの更新をおこなう場合は、以下の手順で更新しましょう。
こちらも、1~3の方法は個人で使用する場合と同じなので、4から説明します。
4.「商用目的」「非商用目的」「教育目的」を選ぶように指示されるので、「教育目的」にチェックを入れます。
5.教育機関の登録をおこなう画面が表示されます。
6.5の画面が表示されると同時に、学生・教職員向けのライセンス認証ページが起動します。
※このページが自動で起動しない場合は、5の画面の下部にURLが表示されているので、WebブラウザにURLを自分で貼り付けて、ページを表示しましょう。
認証ページで認証をおこなうと、学生・教育関係者の場合は、3年間有効なアカウントが発行されます。
まとめ
従来3DCADは、価格的にも高価なものが多く、操作も複雑なものが多いため、敷居が高いと思われてきました。今回の記事でご紹介したFusion360は、それが当てはまらない新しい3DCADであることを、ご理解いただけたのではないでしょうか。
Fusion360は、AutoCADと同じAutodesk社から提供されているソフトなので、2DCADとしてAutoCADを利用してきた方なら、操作を覚えるのも比較的容易であると言えそうです。
Fusion360の導入は、制作現場にFusion360を取り入れる事で、新しい方向からクリエイティブな発想が生まれ、今までとは違った表現方法で、新しいものづくりができるかもしれません。
3DCADを取り入れたいと思っている方は、この機会に、Fusion360で3DCADにチャレンジしてみてください。