建設業界で使われている2DCADソフトを解説
2019.09.02
- CADソフト解説
記事ライター:キャドテク編集部
建築業界では複数の2DCADソフトが使われています。今後、2DCADソフトを使って、仕事をしていくために、シェアしやすいファイル形式のソフトなど、おすすめの2DCADソフトを紹介していきます。
目次
建築業界でよく使われる2D CADソフト1「Auto CAD・Auto CAD LT」
Auto CAD・Auto CAD LTとは?
アメリカのオートデスク株式会社が開発したAuto CAD・Auto CAD LTは、建築・土木・機械の分野で、国を問わず、多くの人が使用している汎用性の高いCADソフトです。
Windows版だけではなく、Mac版もあり、どちらも日本語対応されたソフトが販売されています。
Auto CAD LTは2次元のみですが、Auto CADは2次元だけではなく、3次元にも対応しています。
以前は価格が高価なため、国内でAuto CADを採用している企業は、購入資金に余裕のあるゼネコンや大企業などが中心でした。しかし、ここ数年は、年間ライセンス方式が採用され、中小企業でも使われるようになってきています。
また、建築分野に強いAutoCAD Architectureや、機械分野に強いAutoCAD Mechanicalなど、各分野の専門性に特化した製品もあります。
Auto CAD・Auto CAD LTを使うメリット
Auto CAD・Auto CAD LTを使用するメリットには以下が挙げられます。
・使用している人が多く、データの共有が容易である
・CAD以外のファイルデータも取り込みが可能
・作図方法のバラエティが豊富なため、完成度の高い図面が作成できる
・アドオンソフトやプラグインと連動できる
・iPad ProやApple Pencilにも対応
Auto CAD・Auto CAD LTを使うデメリット
一方、Auto CAD・Auto CAD LTを使用するデメリットには、以下が挙げられます。
・利用に一定のスキルが必要である
・ある程度の作図ができるようになるまで、設定・画面構成・操作などトレーニングが必要
・詳細な図面が作成できる反面、データ容量が増え、共有方法が限られる
建築業界でよく使われる2D CADソフト2「Jw_cad」
Jw_cadとは?
Jw_cadはWindows対応した国産のフリーCADソフトです。無償で入手可能なことに加え、高性能の作図機能を兼ね備えているため、国内ではAutoCADに続いて、2番目に使われている2次元作図ソフトです。
作図方法が比較的容易で、精密な図面も作成することができるため、中小企業や個人の使用を中心に支持され、大手企業でも導入されています。
Jw_cadを使うメリット
Jw_cadを使用するメリットは6つです。
・誰でも簡単に手に入れられる
・仕事での利用に充分な機能を備えている
・建築系の機能が充実している
・日陰図や天空率計算なども可能
・建築業界で使用率が高い
・AutoCADとの互換性もあり、ファイルのやり取りが可能
Jw_cadを使うデメリット
2次元限定ソフトのため、3次元に対応できず、プレゼンテーションで使うには物足りない感じがするかもしれません。
また、多くのCADスクールや職業訓練校ではAutoCADの技能取得を目標にしているところが多いため、Jw_cadの技能取得は本を使っての独学が中心となります。
独学だと学習の継続や、自分で技能習得レベルを判断することになるため、自己管理が苦手な人には難しいという点があります。
この他、図面をパッと見た感じ、少し古い感じの印象を受けます。図面の見た目が苦手ということで利用を避ける人もいるようです。
建築業界でよく使われる2D CADソフト3「Vectorworks」
Vectorworksとは?
Vectorworksは、エーアンドエー株式会社が提供する、建築系の汎用CADソフトです。
Vectorworksは、デザイン性の高いCADソフトとして知られ、カラーを使った視覚的に分かりやすい図面表現が可能です。また、3次元モデリング機能も搭載されています。
IllustratorやPhotoshopといったAdobe製品との連携も取りやすく、建築デザイン設計事務所、インテリアデザイン事務所などでの採用が多く見られるCADソフトでもあります。
Vectorworksのシリーズは全部で4種類あり、建築設計やインテリアデザインに適した「Architect」、都市計画や造園計画に適した「Landmark」、照明計画に適した「Spotlight」、そして全ての設計支援機能を搭載した「Designer」がラインナップされています。
Vectorworksを使うメリット
Vectorworksを使うメリットには以下が挙げられます。
・2D図面から3Dパースの作成、プレゼンまでを全て1本のソフトでできる
・感覚的な操作が可能で、初心者でも扱いやすい
・デザイン性が高く、誰にでも分かりやすい表現ができる
・3次元図面と2次元図面を、同時に作図できる(図面同士の整合性がとれる)
Vectorworksを使うデメリット
一方、Vectorworksを使うデメリットには以下が挙げられます。
・AutoCADやJw_cadと比較するとシェア率が低い
・他のCADソフトとの互換性が低い(図面のやりとりが不便)
・座標値を入力するような作図には向かない
・3Dレンダリング作業に時間がかかる
建築業界で使われるその他の2D CADソフト
図脳RAPIDPRO19
用紙のサイズと縮尺を決めて、作図ができるWindows対応の国産ソフトです。AutoCAD、Jw_cad だけではなく、DXFのデータにも対応しており、互換性が高い点が強みです。PDFデータ(ベクトルデータが必要)を使って、CADデータを作成し、自分で編集し直すことも可能です。直感的に操作がしやすく、精密な図面を作図することができます。
CADSUPER Lite
Windows対応の国産ソフトです。CADSUPERシリーズの上位モデル「CADSUPER Works Lite・Mini」の2次元部分の製図機能に限定した国産2次元CADソフトで、機械設計などでよく用いられるネジやボルトなどのJIS部品の自動作図機能があるのが強みです。
また、他のCADソフトのデータとシェアしやすいのが特徴です。CAD初心者でも使いやすく、シンプルで操作性が高い点が評価できます。
DynaCAD
CALS/ECに対応した2次元CADソフトのDynaCADは、建築分野に特化した機能を多く備えています。手描きの図面をスキャナで読み込み、編集もできるため、建築分野で設計をしている方におすすめのソフトです。カスタマイズ機能を備えており、AutoCADやJw_cad、SXFデータとの互換性もあります。ライセンスはUSBのプロテクトキー形式を採用しています。
BricsCAD
2次元製図・3次元設計機能を備えたBricscad Proは、3Dモデリング機能があります。AutoCADとのデータの受け渡しも可能で、コストパフォーマンスが高い製品となっています。
DRA-CAD
DRA-CAD LE(ドラキャド エルイー)は建築分野に特化した製図機能が装備されている2次元ソフトです。
まとめ
建設業界で使われている2DCADソフトについて、紹介しました。建築業界で働く人でしたら、AutoCADとJw_cadはしっかり押さえておいてもらいたいソフトです。
2DCADをどの程度扱えるかを示した資格には、以下があります。
・Autodesk認定プロフェッショナル支援、ユーザー試験
・CAD利用技術者試験(2次元)
・建築CAD検定試験
これらの資格取得を目指すことで、技能を習得できることがもちろんですが、よりCADの知識を深めることができ、仕事にも役に立てることができます。